パラリーガルから弁護士になる方法と弁護士を目指す5つのメリット

パラリーガルから弁護士

法律事務所で弁護士の補助業務を行うパラリーガルから、弁護士を目指そうと考える方もいらっしゃるかと思います。

パラリーガルは普段から弁護士の実務を間近で見ることができるので、実務のイメージも湧きやすく、弁護士になってからのミスマッチも少ないでしょう。

実際にパラリーガルとして働きながら弁護士を目指すことはできるのでしょうか。

パラリーガルをしながら弁護士を目指すメリット・デメリット、弁護士のキャリアプランについて、10年以上パラリーガル専門スクールを運営する、AG法律アカデミーのアドバイザーが解説します。

パラリーガルとは

パラリーガルとは弁護士の補助業務を行う職種です。具体的には、クライアントからの事前相談補助・訴訟などのスケジュール調整・資料作成補助などを行います。

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パラリーガルはアメリカで生まれた職業であり、アメリカではパラリーガルを養成するためのプログラムも大学や専門学校などで実施されています。 日本はというと、パラリーガルになるために必須な資格はありません。パラリーガルを募集している法律事務所から採用されればパラリーガルとして働くことができます。

パラリーガルと弁護士の大きな違いとして、法律相談、受任の判断、報酬額の決定、弁護士の監督がない状態での書面作成、弁護士の監督がない状態での交渉は禁止されているので、これらの業務に関しては弁護士の指示で動くことが基本です。

そのため、「自分が率先して問題解決をしたい」という意思がある場合、パラリーガルから弁護士を目指す方は多くいらっしゃいます。

パラリーガルから弁護士になるには

それでは、どうすればパラリーガルから弁護士になることができるのか、ご紹介します。

司法試験に受かれば弁護士になれる

弁護士になるためには、まず司法試験に合格する必要があります。そのため、パラリーガルでも勉強をして司法試験に合格することができれば弁護士になることができます。

司法試験の難易度|合格する人もいるので無理ではない

一般の会社員でも働きながら学習をして司法試験に合格する方もいらっしゃいます。そのため、法律についてある程度の知識があるパラリーガルであれば勉強もしやすいでしょう。

ただし、司法試験は難関資格で勉強範囲も広いです。パラリーガルの業務範囲は限定的なので、それなりの勉強量が必要になることは覚悟しておいた方がいいでしょう。

勉強時間の確保が鍵

パラリーガルで実務をしていても、司法試験のために新しく勉強することは多々あります。そのため、勉強時間の確保をするかが司法試験合格の鍵となるといえるのではないでしょうか。

平日は業後、土日などしっかり勉強時間を確保し、集中して勉強を進める必要があるといえます。

司法試験を受けてパラリーガルから弁護士になる手順

パラリーガルが司法試験を受けて弁護士になるための道について紹介します。

予備試験に合格する

司法試験を受験するためには、まず予備試験に合格するという方法があります。予備試験には年齢制限や出身学部などの受験条件がありません。たとえば高卒や法学部出身ではないパラリーガルでも予備試験の受験は可能です。予備試験に合格することで司法試験の受験資格を得ることができます。

法科大学院に通う

法科大学院に通うことでも司法試験の受験資格を得ることができます。法科大学院は平日昼間に開講がメインのところが多いですが、社会人向けに夜間コースや土日コースを用意しているところもあります。

もし働きながらでも無理なく通えるのであれば法科大学院への通学をしてもいいでしょう。 特に大手法律事務所の場合は出身校で判断するので、大手法律事務所への入所をめざすのであれば、なるべく高学歴の法科大学院を選んだ方が良いでしょう。

ただし、法科大学院へ進学するためにも1年~2年程度勉強が必要になります。

司法試験に合格する

上述の通り、司法試験の受験資格は①予備試験に合格する②法科大学院に通うかのどちらかです。受験資格を得られたら司法試験に挑戦し、合格することで弁護士へ近づけます。

司法修習期間

司法試験合格後は最高裁判所の司法研修所における司法修習を1年間受けます。司法修習のカリキュラムは、10か月間の実務修習と、司法研修所における2か月の集合修習です。

実務修習では、民事裁判修習・刑事裁判修習・検察修習・弁護修習・選択修習を2か月ずつ行い法曹の知識を深めます。 また、修習の最終には試験(考試)があり、この試験に合格することで、法曹資格(裁判官・検察官・弁護士となる資格)を得ることができるのです。

参考:裁判所

 

法律事務所への入所

司法修習期間が修了したら法律事務所へ入所します。司法試験の後から司法修習前までに既に内定を得ている場合もありますが、司法修習が終わってから就職活動を始めることもあります。

司法修習に集中するためにも司法修習前に就活を終わらせておいた方が安心といえるでしょう。

パラリーガルを経験しながら弁護士を目指す5つのメリット

パラリーガルを経験しながら弁護士を目指すメリットを紹介します。

実務を体験することで弁護士になった後のミスマッチをなくせる

パラリーガルを経験することで、実際に弁護士が引き受ける仕事の実務を補助ではありますが体験できます。そのため、何も実務を知らないまま弁護士を目指すよりもパラリーガルを経験しておいた方が弁護士として働きだしてからのミスマッチは少ないでしょう。

弁護士の仕事はハードなので、せっかく弁護士になっても体調を崩して辞めてしまったり、別の仕事を選んだりということもあります。実際に弁護士の仕事を理解している分、ミスマッチが少ないので勉強する時間を無駄にしません。

収入を得ながら挑戦できる

弁護士になるためには最低でも2~3年の勉強期間が必要といわれています。この期間勉強に集中して収入がなくなれば生活は非常に苦しいものになるでしょう。

しかし、パラリーガルとして働いていれば実務経験を積めるだけではなく、収入を絶やすことなく勉強できるという点もメリットです。

年収が上がる

日弁連が調査によると、独立開業している弁護士も含めた弁護士の年収は『平均収入2,558万円』『平均所得1,119万円』です。一方、パラリーガルの収入は所属する法律事務所にもよりますが年収400万円前後の水準といわれています。

そのため、同じ法律を扱う仕事をするのであれば難関資格ではありますが司法試験に合格して年収アップを目指した方がいいといえるのではないでしょうか。弁護士として高収入を得ている人の近くで働くことで「自分も年収を上げる」というモチベーションを維持できるのもパラリーガルとして働きながら弁護士を目指すメリットです。

参考:日本弁護士連合会

勉強するモチベーションを維持できる

司法試験の勉強はかなり辛いものになります。勉強ばかりしていると,法律を見るのも嫌になり心折れそうになることも多いですが、パラリーガル として法律業務の実務に身を置くことで、自分が弁護士になる目的を再確認でき、受験勉強のモチベーションも上がることでしょう。

弁護士資格を取得後に直ぐ独立することも可能

通常、弁護士資格を取得したらまずは法律事務所に就職し、各事件の事務手続等を学びながら知識をつけることになるため右も左もわからない状態になります。

しかし、パラリーガルとしてすでに実務経験を得ているので、各種事務手続きの知識が既にあり、即独弁護士になることも可能です。

パラリーガルを経験しながら弁護士を目指すデメリット

では、パラリーガルをしながら弁護士を目指すデメリットはあるのでしょうか。

残業や休日出勤が発生すると勉強時間がとりにくい

法律事務所はクライアントの希望に合わせて働くので激務になりやすいです。パラリーガルも弁護士の案件に合わせて残業や休日出勤をすることもあるでしょう。

たとえば、通学式の専門学校や法科大学院に通う場合、急な残業で通えなくなるなども想定できます。そのため、予定通りに勉強が進まず試験までに勉強範囲が間に合わなくなることもあるので注意が必要です。

体力的に厳しい

仕事が終わってから勉強をすること、それを数年間毎日続けることは想像以上に大変です。パラリーガルの仕事で疲れた後でも自分をふるい立たせて勉強をしなくてはいけません。

しかし、無理をして勉強をすることで疲れがたまり、免疫が落ちれば本業のパラリーガルの仕事にも影響が及びます。

特に働きながら勉強を続けるのは数年かけて合格を目指すなど無理をしすぎないスケジュール設定をするのが大切です。

予備試験で合格するための勉強時間はどのくらい?

パラリーガルから司法試験合格を目指す場合、法科大学院に通うより予備試験合格を目指す人が多いと想像します。予備試験合格のための勉強時間は受験生の知識や経験によって異なりますが3,000時間~8,000時間です。

予備試験合格のためのカリキュラムを用意している予備校や通信講座では1年の勉強期間で合格を目指すものもありますが毎日5時間以上は勉強することになることは覚悟しておきましょう。

もし、働きながらの勉強が厳しいのであれば、無理のない範囲で勉強を続けられるように数年間の勉強して合格を目指す設定した方がいいといえます。

パラリーガルも知っておくべき弁護士のキャリアプラン

最後に弁護士のキャリアプランについて紹介します。

一般民事法律事務所からのキャリア

一般民事系法律事務所では幅広い事件を扱いますが、特に刑事事件はのちに説明する企業法務系法律事務所やインハウスローヤーでは取り扱わないので、「さまざまな事件を経験してゆくゆくは独立したい」という場合に最適です。

企業法務系事務所からのキャリア

企業法務系法律事務所は、弁護士が300人から500人規模で所属する大手弁護士事務所です。国内大手企業をクライアントとして、弁護士一人ではなく数人のチームで担当することも多いです。

国内大手企業を顧客とする企業法務事務所の場合、M&Aや上場準備などクライアント企業の業務内容次第でさまざまな対応をしなくてはいけません。大手企業は海外進出や海外取引も多いので、それに対応して英文契約書の準備や英語でのトラブル対応なども求められます。

よくよくは独立して自分の事務所を持つか、インハウスローヤーとして企業の法務部で働くなどのキャリアがあります。法務系のキャリアを重ねた方は、社外取締役などのポジションに就くという選択肢もありますね。

まとめ

事業会社で働く社会人でも、働きながら弁護士を目指すことができるので、パラリーガルから弁護士を目指すことは不可能ではありません。

司法試験を受けるには法科大学院に通うか予備試験に合格する必要がありますが、社会人の場合は予備校に通ったり、通信教育を活用したりして予備試験を利用する方が多いでしょう。

司法試験の難易度は非常に高いので、勉強時間の確保は必要ですが、パラリーガルは実務経験があるので法律知識の吸収もしやすいのがメリットです。

ただし、法律事務所は事業会社に比べて残業が多い傾向にあるので体力的に厳しい場合もあるかもしれません。仕事と勉強を両立するためには無理のない学習計画をするのが大切です。

弁護士になったほうが年収アップ・キャリアアップも可能になります。難易度は高いですが挑戦することに損はないでしょう。

 


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