転職におすすめな事務職はこの5種類|給料・仕事内容・スキルを完全解説
事務職にはさまざまな種類があるため、転職を希望する場合は種類や業務内容について知っておく必要があります。
事務職とひとくくりに扱われる職種ですが、選ぶ業界・仕事内容によって、給料やキャリアアップの可能性も大きく変わるためです。
本記事では、転職におすすめな事務職の種類や仕事内容について紹介します。
事務職の役割・仕事内容とは?
事務職とは、企業や組織の運営を支えるバックオフィス業務全般を担う職種のことです。
営業や開発など、利益を直接生み出す部門のサポートを行い、業務の円滑な進行を支援します。
具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
- 書類作成
- データ入力
- 電話・メール対応
- 来客対応
- 事務処理
- 備品整理
- 会議の準備
上記のように、事務職の仕事は多岐にわたります。
事務職には正確さと効率性が求められ、ミスなく業務を遂行することが大切です。
また、他の社員や部門との連携が重要なため、コミュニケーション能力やチームワークも不可欠なスキルです。
さらに、時には会社の顔として受付業務を担当する場面もあり、対応力やホスピタリティが求められる場面もあります。
事務職の種類は多く、一般事務・営業事務・経理事務・総務事務などがあり、それぞれ仕事内容や役割が異なりますが、いずれも企業活動に欠かせない存在です。
転職におすすめの事務職5選!業務内容と給料は?
事務職と一口に言っても、一般事務・営業事務・経理事務・総務事務など多岐にわたります。
ここでは、転職におすすめの事務職を5つ解説します。
パラリーガル
パラリーガルとは、法律事務所で弁護士をサポートする事務職です。
弁護士の指示のもと、法律に関する資料の調査や裁判所との期日調整、法律相談前の聞き取りなどを行います。
仕事内容 | 書類作成 データ入力 電話・メール対応 来客対応 事務処理 備品整理 会議の準備 |
1日の流れ | 9:00:出社 9:20:所内の清掃 9:30:業務開始 9:35:資料の取り寄せ・書面の下書きなど 12:00:お昼休憩 13:00:弁護士に同席してお客様からの相談の聞き取りを行う 14:00:官庁などへ外出 15:30:資料作りや文書の確認 17:00:弁護士へ業務報告 18:00:帰宅 |
年収 | 約437万円 |
パラリーガルの仕事は法的な知識が求められるため、専門性が高い職種です。
そのため、他の事務職と比べて法律事務におけるスキルを習得でき、転職市場でも高く評価される職種となっています。
また、パラリーガルの平均年収は約437万円とされていますが、大手の法律事務所や特許事務所では600万円から800万円を超える場合もあります。
スキルや経験によって収入が大きく変わるため、キャリアアップを目指しやすい職種です。
関連記事
◾︎ 法律事務職員とは?詳しい仕事内容とメリット・デメリットを徹底解説!
◾︎ 法律事務所への転職を成功させる7つの知識|法律事務員未経験者から正社員で働く為の成功ポイント
「自分はパラリーガルに向いているのか?」「最短でスキルの高いパラリーガルになるためには何をしたらいいのか?」などパラリーガル適職診断やパラリーガルとして効率良くスキルを上げる方法が全てわかかる動画を公開しています。
ぜひご活用ください!
↓↓↓ 公式LINEはこちら ↓↓↓
経理事務
経理事務は、企業の財務管理をサポートする重要な職種です。
仕事内容 | 入出金管理や仕訳入力 請求書・領収書の処理 給与計算 伝票の仕分けや処理 帳簿の作成 経費の精算 |
1日の流れ | 9:00:出社、打ち合わせ 10:00:売上入金の確認、伝票の整理・仕分け 11:00:銀行にて通帳記帳 12:00:お昼休憩 13:00:経費の精算処理・出張費の精算処理 15:00:処理済み請求書等の整理 16:00:社内のシステムデータ入力 18:00:退社 |
年収 | 約364万円 |
正確なデータ管理が求められ、少しのミスが企業の信用や財務状況に大きな影響を与えるため、注意力と責任感が必要です。
また、Excelなどのソフトウェアスキルや簿記の知識が必要で、特に決算期や税務申告時期には業務が集中するため、効率的な時間管理も求められます。
経理事務は企業の経営基盤を支える役割を果たし、日常の業務を通じて財務の全体像を理解できるため、キャリアの発展にもつながるでしょう。
平均年収は約364万円で、勤務先や経験によって差がありますが、キャリアを積むことでより高い収入を期待できます。
人事・総務
人事・総務は、企業運営の基盤を支える事務職です。
人事は採用活動や労務管理、社員の福利厚生手続きなど、従業員に関わる業務を中心に担当します。
仕事内容 | 採用活動 社員の福利厚生手続き 契約書の管理 勤怠管理 給与計算 備品や設備の管理 |
1日の流れ | 9:00:出社、朝会 10:00:採用面接の準備・確認 11:00:請求書の発行・支払い請求書の確認 12:00:お昼休憩 13:00:郵便物の整理・発送 15:00:面接日の設定・求人媒体の掲載内容更新 16:00:経理・事務作業 18:00:退社 |
年収 | 約400万円 |
人事・総務は独立した部署が存在する企業もありますが、総務部や人事部などのひとつの部署で担当分けがされているケースも多いです。
規模の小さい企業であれば事務職として採用され、人事・労務・総務をすべて担当することもあります。
また、労働法や社会保険に関する知識も必要とされ、従業員とのコミュニケーション能力も欠かせません。
人事・総務の平均年収は約400万円ですが、企業の規模や経験、役割によって異なる場合があります。
特に人事業務はスキルを積むことで、より高収入を目指すことも可能です。
労務
労務とは、企業の従業員に関する管理を担当する事務職です。
従業員が円滑に働けるように、労働環境の整備や法的手続きをサポートする役割を担います。
仕事内容 | 給与計算 勤怠管理 保険手続き 福利厚生業務 安全衛生管理 就業規則作成 労使関係管理 |
1日の流れ | 9:00:出社 10:00:メール・郵便物の確認 11:30:社内ミーティング 12:00:お昼休憩 13:00:手続き関係で外出 16:00:給与計算、勤怠管理 18:00:退社 |
年収 | 約330万円 |
労務業務では、細かい法律の知識や正確なデータ管理が求められるため、スキルが高いほどキャリアアップの可能性が広がるでしょう。
平均年収は約330万円とされていますが、スキルや勤務先によっては600万円以上を目指すことも可能です。
企業のバックオフィスで安定した職種を希望する方には、魅力的な選択肢です。
医療事務
医療事務とは、病院やクリニックなどの医療機関で主に受付業務や会計業務、診療報酬の請求(レセプト作成)などを担当する事務職です。
医療機関の「顔」として患者さんの対応を行うことが多く、医療保険制度や医療費に関する知識が必要とされます。
仕事内容 | 受付 会計 診療報酬の請求(レセプト作成) カルテの準備 医療データの整理 外来患者の受付や診療費の計算 入退院手続き |
1日の流れ | 8:30:出勤 9:00:午前の受付・診療開始 12:00:お昼休憩 14:00:午後の受付・診療開始 18:00:受付終了・退社 |
年収 | 約291万円 |
医療事務は、病院全体の運営を円滑に進めるために医師や看護師と連携し、患者対応を支える重要な職種です。
景気の影響を受けにくい業界のため安定した需要があり、特に女性に人気があります。
医療事務の平均年収は約291万円で、一般事務と比較するとやや低い水準。
しかし、個人クリニックなどでは残業が少なく、ワークライフバランスを保ちやすい職場環境が多いです。
その他の一般事務職一覧!主な種類と仕事内容
上記で紹介した職種以外にも、事務職にはさまざまな働き方があります。
次に、その他の事務職(一般事務職)について、主な種類と仕事内容を解説します。
一般事務・OA事務
一般事務・OA事務は、企業の事務全般のサポートを行う職種です。
企業活動における基本的な事務作業を担い、資料作成やデータ入力、電話応対や備品管理、郵便物の処理などを行うのが一般事務。
OA事務は「Office Automation」の略で、パソコンやオフィス機器を使って業務の効率化を図る役割を持ち、一般事務と同様に広範な業務をこなします。
企業によって仕事内容が大きく異なることもありますが、基本的に一般事務とOA事務も立ち位置は一緒です。
一般事務の業務内容は多岐にわたりますが、主な業務として書類作成・データ入力・電話対応・来客対応などがあります。
OA事務はこれらに加えてパソコンを使った業務が多く、特にデータ処理や表計算など、パソコンスキルを活かした作業が求められます。
未経験でも応募可能なケースが多く、特別な資格が不要な点が魅力です。
しかし、企業によって求められる業務内容が異なるため、応募時には仕事内容の詳細をよく確認しましょう。
営業事務
営業事務とは、営業職をサポートする事務職で「営業アシスタント」や「営業サポート」とも呼ばれます。
営業担当者が顧客対応や交渉に集中できるよう、社内での事務業務を支えることが主な役割です。
仕事内容は多岐にわたり、具体的には見積書や請求書の作成、受発注データの入力や社内会議用の資料準備などが含まれます。
また、クライアントとのメールや電話でのやり取り、納期調整やクレーム対応など、顧客対応も担当します。
営業担当者が不在時には、代理として顧客対応を行うこともあるため、柔軟な対応力と高いビジネスマナーが必要です。
営業事務は、事務未経験でも採用されやすい職種であり、ExcelやWordなどの基本的なパソコンスキルがあれば応募可能です。
また、コミュニケーション能力や調整力が重要な役割を果たすため、接客や営業経験があると転職で有利になります。
秘書
秘書とは、企業の経営陣や役職者をサポートする事務職です。
主に社長や役員などのスケジュール管理や来客対応、文書作成などを担当し、上司が本来の業務に専念できるようサポートします。
秘書業務は企業や上司によって異なることが多く、柔軟で迅速な対応力が求められます。
秘書は、スケジュール調整・会議準備・来客対応・電話やメール対応・各種手配業務などが主な仕事です。
上司の業務内容や日常の動きに精通し、スムーズなサポートを提供することが秘書の重要な役割を担います。
また、対外的な対応も多く、ビジネスマナーやコミュニケーションスキルが非常に求められる職種です。
財務
財務は、企業の資金管理や財務戦略の立案を担う重要な職種です。
経理が作成した帳簿や財務諸表をもとに将来の資金計画を立て、必要な資金を調達や効率的な運用を行う役割を果たします。
財務の主な仕事内容は、予算管理・資金調達・資産運用・財務戦略の立案などです。
銀行融資の交渉や株式発行、M&Aなども含まれます。
財務は、企業の成長や変化に対応しながら資金計画を立て、経営陣と連携しつつ企業の持続的な発展をサポートする重要な役割を担います。
会計
会計は、企業の資金管理を担う業務で日々のお金の出入りを記録し、経営に必要な財務情報を整理・提供する役割を果たします。
財務諸表の作成や税金の計算など、企業運営に欠かせない業務を担当する職種です。
特に、株主や取引先などの外部に向けた財務報告や、法人税の計算などを行うため、専門的な知識が求められます。
会計の具体的な仕事内容は、帳簿の記帳・決算書の作成・税金の計算や納税準備などです。
企業の経営状況を把握し、資金繰りの調整や財務戦略をサポートするため、会計の情報は企業経営の基盤となります。
法務
法務とは、企業活動における法律関連の事務を担当する職種です。
企業が取引や契約を行う際、またはコンプライアンスの整備や特許競争など、さまざまな場面で法律の知識が求められます。
法務の主な業務には、契約書の確認や作成・社内規程の整備・法改正への対応・訴訟や紛争への対応・知的財産権の保護などが含まれます。
専門知識が求められる職種ですが必須資格はなく、法務経験があればキャリアアップが可能です。
その他の専門性が高い事務職一覧!主な種類と仕事内容
事務職は未経験でも転職できると人気の高い職種ですが、なかには高い専門性が必要とされるものもあります。
次に、専門性が高い事務職の種類と仕事内容を紹介します。
学校・大学事務
学校・大学事務は、小学校から大学までの教育機関で働く事務職です。
公立の小中学校などの事務職は公務員なので、各都道府県が実施する地方公務員試験に合格しなければなりません。
そのため公務員以外で学校事務へ転職する際は、私立大学や専門学校などで働く事務職を目指しましょう。
主な業務には、学生や保護者の窓口対応・入学・卒業手続き・学費や奨学金の管理・施設の維持・管理が含まれます。
大学では、さらに教授の研究サポートや国際業務(留学生対応)など、専門的な業務も加わります。
学校事務は事務作業だけでなく、学生や教職員とのコミュニケーションも重要な要素です。
子どもや学生の成長を支えるやりがいのある職種で、教育機関の運営を縁の下から支えます。
病棟事務(クラーク)
病棟事務(クラーク)は、病院内で医師や看護師をサポートする事務職です。
特に入院患者やその家族、医療スタッフとの橋渡し役を担います。
主な業務としては、入院手続きの対応やカルテ管理、診療情報の整理や病室の予約や準備などがあります。
医療業務に関わるサポートを行い、医師や看護師が診療に集中できる環境を整えることが病棟事務の役割です。
患者やその家族に対する対応も求められるため、コミュニケーション能力が重要です。
資格や学歴は不要ですが、医療に関する基本的な知識や事務処理スキルがあれば、より円滑に業務をこなせるでしょう。
医療現場を支える縁の下の力持ちとしてのやりがいがあり、他の事務職に比べて医療業界に特化した専門性を身につけられるのも魅力です。
介護事務
介護事務は、介護施設や介護サービス事業所で働く事務職のことです。
介護サービスを提供した内容に基づいてレセプト(介護給付費明細書)を作成し、自治体に対して介護報酬を請求します。
受付業務や利用者とその家族への対応、職員の勤怠管理や給与計算、施設の備品管理なども介護事務の仕事です。
また、介護事務は事務職でありながら、介護職員をサポートする場面もあります。
例えば、ケアマネジャーの補佐や必要に応じて利用者の介助やシーツ交換、送迎など介護現場の補助に回ることもあります。
そのためデスクワークだけでなく、柔軟な対応力や介護に関する知識も必要です。
介護職員やケアマネジャーと連携しながら、利用者や家族に安心してサービスを利用してもらうためのサポート役としても重要な役割を担います。
貿易・国際事務
貿易・国際事務は、輸出入に関わる幅広い業務を担う専門性の高い事務職です。
主な仕事は、輸出通関書類の作成・申請や輸送手段の手配、保管倉庫の管理、税金の納付手続きなどがあります。
企業の規模によって業務範囲は異なり、大企業では業務が細分化される一方で、中小企業では幅広い業務を担当することが多いです。
貿易・国際事務には、語学力や貿易に関する専門知識が求められ、特に英語での書類作成や取引先とのコミュニケーションが必要になります。
また、輸送スケジュールの管理や納期調整など、輸出入の全過程に関わるため、正確な業務遂行が求められます。
貿易・国際事務は、商社やメーカー、物流会社などで活躍の場があり、国際的な取引を支える仕事です。
宅建事務
宅建事務は、不動産取引に関わる専門的な事務職で、宅地建物取引士の資格を活かして働く職種です。
不動産会社での業務が中心で、契約に関する重要事項説明の実施や説明書の作成を行います。
資格が必要なため、他の事務職に比べて専門性が高いのが特徴です。
また、営業のサポートとして物件情報の入力や空室確認、広告作成や内見への同行など、多岐にわたる業務も担当します。
宅建事務は契約業務だけでなく、経理作業や電話対応、物件写真の撮影などの幅広いサポート業務も求められます。
調剤薬局事務
調剤薬局事務は、調剤薬局で処方箋の受付や会計、保険証の確認、レセプト(調剤報酬明細書)の作成などを担当する事務職です。
薬剤師のサポート役として患者と直接関わるため、コミュニケーション力が求められます。
また、処方箋のデータ入力や医薬品の在庫管理・発注も行うため、正確な作業と専門知識が必要です。
調剤薬局事務は未経験からでも始めやすく、資格取得も比較的簡単なため、キャリアチェンジを考える女性にも人気です。
裁判所事務官
裁判所事務官は、裁判の円滑な進行をサポートする国家公務員の事務職です。
裁判所の「裁判部門」や「司法行政部門」に配属され、裁判書類の作成・発送や手続案内、裁判員や証人の対応など、さまざまな業務を行います。
裁判部門では、裁判所書記官のもとで裁判事務を担当し、法廷の準備や書類の授受など裁判を支えるのが仕事です。
一方、司法行政部門では、総務課や人事課、会計課などで裁判所の運営に必要な事務作業に従事します。
裁判所事務官は国家公務員試験に合格する必要があり、安定した待遇とやりがいのある仕事として人気があります。
検察事務官
検察事務官は、検察官をサポートする国家公務員の事務職です。
主な役割は、刑事事件に関わる捜査や公判を支援することで、検察官とともに事件記録の作成や証拠品の管理、書類の授受や供述調書の作成などを行います。
裁判の証拠となる重要な書類を作成するため、正確さが求められる職種です。
また、検察事務官は検務部門や事務局部門に配属され、事件の受理や令状請求、罰金の徴収などの庶務業務も担当します。
さらに、再犯防止に向けて、保護観察所や地方自治体との連携を通じて被疑者や被告人の社会復帰支援も行います。
社会正義を守る役割を担う検察事務官は、国家公務員として安定したキャリアとやりがいがある職種です。
受付事務
受付事務は、企業や商業施設、ホテルなどの入り口で来訪者に対応する事務職です。
主な業務は、来客対応や電話の取次ぎ、会議室の予約や郵便物の受け取り、顧客データの管理などがあります。
企業や施設の「顔」としての役割が求められ、丁寧な接客スキルやビジネスマナーが必要です。
また、パソコンを使ったデータ入力やメール対応、予約管理などの事務作業も含まれるため、接客と事務作業をバランスよくこなす能力が求められます。
企業や業種によって仕事内容は異なることがあるため、求人票をよく確認することが重要です。
金融事務
金融事務は、銀行・証券会社・保険会社など、金融機関で行われる専門的な事務業務を担当する職種です。
主な業務には、窓口での口座開設や入出金処理・融資業務・外国通貨の両替・送金手続きなどが含まれます。
また、証券会社では証券口座の管理やトレーダーのアシスタント、保険会社では保険契約手続きや保険金支払いの対応など、幅広い業務を担当します。
金融に関する専門知識が求められるため、証券外務員やファイナンシャルプランナーなどの資格が役立つでしょう。
お金を扱う業務であるため正確さと信頼性が重要であり、責任の大きい職種でもあります。
事務職の転職市場と今後の事務職の扱いとは?
コロナ禍における、事務職の転職市場や今後求められる人物像について解説します。
コロナ禍における事務職の求人倍率
新型コロナウイルス感染症の影響で、飲食業界や観光業界などが大打撃を受け、採用活動でリモート面接を導入する企業も増えてきました。
そのうち、事務職・アシスタント職の求人倍率は、0.2~0.5と低水準で横ばいしています。
参考:doda|転職求人倍率レポート(データ)より加工
事務職・アシスタント職は、新型コロナウイルス感染症が蔓延する前から人気の職業で、新しい求人を出せばすぐに応募者が集まる状況なのは変わりません。
人的コストを下げて優秀な事務員を採用する傾向に
人的コストを削減し、優秀な事務員を採用する傾向が強まっています。
コロナ禍でリモート面接を実施する企業も増えてきましたが、対面面接に比べてリモート面接がやりにくいと感じる方も少なくありません。
とはいえ、リモート面接の導入が事務職応募者に与える影響はそれほど大きくないようです。
それよりも、事務職応募者が注目すべきは、事務作業のIT化や自動化の進展。
これまで人間が手作業で行っていた業務は、次第にシステムによって自動化されるようになってきました。
最終的なチェックは依然として人間が行うことが多いものの、事務職の作業量が減少し、それに伴い求人数も減少しています。
このような状況下で、企業はコロナ禍を意識しながら、優秀な事務職を厳選して採用する傾向が強まっています。
具体的な、事務職の採用基準は以下のとおりです。
- 迅速かつ正確な作業ができるか
- 変化に柔軟に対応できるか
迅速さと正確さは、以前から事務職に求められていたスキルですが、その重要性は年々増しています。
また、主体性を持ち、他部署と連携しながら業務効率を向上させられるかどうかも重視されています。
受け身の姿勢では事務職になれない時代になりつつある
面接では「今までに行った業務改善はありますか?」や「業務を効率化するために工夫できることは何だと思いますか?」といった質問が増えています。
受け身の姿勢では、事務職に就くのが難しい時代になっているといえるでしょう。
さらに、コロナ禍による混乱や急速に進むIT化に、柔軟に対応できる事務職も求められています。
イレギュラーな事態が発生しても冷静に状況を判断し、最適な対応を取れる事務員が、これからの企業には必要とされています。
事務職への転職で求められるスキル・経験
ここからは、事務職への転職でどのようなスキル・経験が求められるのかについて解説します。
基本的なパソコンスキル
事務職への転職を目指すなら、基本的なパソコンスキルは欠かせません。
特に、WordやExcelなどのOfficeソフトを使いこなすスキルが重要です。
Wordでは報告書や契約書の作成を、Excelではデータ入力や集計など、簡単な関数を使った表計算などが求められます。
また、PowerPointが使えると、会議資料の作成にも対応できるため有利になるでしょう。
キーボードを見ずにタイピングできる「ブラインドタッチ」も、業務を効率的に進めるための基本スキルです。
最近では専用の業務ソフトを使う企業も多いため、柔軟に新しいソフトに対応できるパソコンリテラシーが求められます。
コミュニケーション能力
事務職は他の社員を支える裏方的な仕事のため、周りと上手くコミュニケーションをとれる人が好まれます。
社内外の人々と適切なやり取りができなければ、業務は円滑に進みません。
例えば、上司や同僚からの指示を正確に理解し、不明点があればその都度質問することが求められます。
これによりミスややり直しを防ぎ、効率的に仕事を進めることができます。
また、来客や電話対応など、外部とのやり取りでは「会社の顔」としてビジネスマナーが必要です。
さらに、メールやチャットを使ったやり取りも一般的になっているため、状況に応じたツールの使い分けも求められます。
コミュニケーションの基本である「聞く力」と「伝える力」を意識し、業務を円滑に進められる姿勢が重要です。
スピーディーかつ正確な処理能力
事務職では、スピーディーかつ正確な処理能力が求められます。
業務量が多く、複数のタスクを並行して進める場面が多いため、迅速に作業を進めるだけでなく、ミスを防ぐ正確さが重要です。
特に事務職では、他の部署やクライアントに対して正確なデータや書類を提供するスキルが求められます。
集中力を高く保ちながら業務をこなし、わからないことがあればすぐに確認して、作業を進める姿勢が必要です。
スピーディーかつ正確な処理能力を身につけることで、事務職としての信頼度が向上し、さらなるキャリアアップにもつながります。
業務内容に応じた専門スキルがあると有利
事務職は専門的なスキルが不要と思われがちですが、業務によっては特定の専門知識やスキルがあると有利です。
例えば、経理なら簿記の知識、法務なら民法や会社法の知識が役立ちます。
これらの専門スキルを持っていると、業務効率が上がり、企業からの評価も高くなるでしょう。
またAIの進化により、単純な入力作業だけではなく、より高度な業務が求められる傾向にあります。
そのため、事務職として長期的にキャリアを積みたいのであれば、専門スキルや業界知識を積極的に身に付けていくことが重要です。
市場価値の高い事務職に転職・なるなら知っておきたい職業選び方のコツ
ここまで、事務職の種類や仕事内容などを解説しました。
そのうえで、これから事務職になるならどの職種を選ぶべきか、参考になる知識を紹介します。
代替がききにくい専門スキルを持った事務職であること
事務職は特別な知識や経験が不要であることや、データ入力や書類作成が中心であることから、良くも悪くも替えが効いてしまう職業です。
そのため、替えの効くその他大勢にならないために、専門的な知識を必要とされる事務職を選ぶのが望ましいでしょう。
専門的な知識を必要とされる事務職とは
今回紹介した事務職の中で言えば、下記の4つがおすすめです。
- 経理・財務・会計:公認会計士資格取得・簿記・会計監査で活躍など
- 労務:給与計算・就業規則作成・社労士資格取得・問題社員対応など
- 法務:コーポレートガバナンス強化・コンプライアンス研修・レピュテーションリスク対策など
- パラリーガル:弁護士の右腕・事務所内業務の効率化・時には集客支援まで
いずれも高度な専門知識が必要ですが、一度なれればどのような転職先でも活躍できる人材になれるでしょう。
ポータブルスキルだけでは転職で苦労する
ポータブルスキルとは、厚生労働省が提唱するどこの会社や部署、職種でも活かせる「持ち運び可能なスキル」のことです。
例えば、コミュニケーション能力や論理的思考、問題解決能力などが当てはまります。
これらは転職市場でも重要とされますが、ポータブルスキルだけでは転職において苦労することもあります。
ポータブルスキルはあくまで基礎的な能力であり、企業が求めるのはさらに上位の専門スキル(テクニカルスキル)です。
例えば、事務職であれば語学力や簿記の知識などが該当します。
これらの専門スキルを持たないと、特定の分野で即戦力として活躍することが難しく、転職時のアピールポイントが不足してしまう可能性があります。
そのため、転職を見据えて専門資格の取得や、テクニカルスキルの強化が必要です。
今後のキャリアアップを見据え、活躍できる事務職であること
今後のキャリアアップを見据え、活躍できる事務職であることが重要です。
事務職がキャリアアップしたと言えるのは「年収アップ」「専門職へのキャリアチェンジ」などでしょう。
しかし、直接売り上げに貢献する仕事ではないため、勤続年数以外では、なかなか年収が上がりづらいのが事実です。
転職サイトdodaが2020年に公開した調査によると、20代の事務・アシスタントの平均年収は303万円、30代でも平均年収は346万円。(参考:事務職の平均年収を年代・種類別で徹底解説!)
もちろん、年収アップだけがキャリアアップの評価項目ではありませんが、仕事に対する評価としてはなかなか厳しいのが現実です。
このように「年収の上がりにくい=評価されにくい」一般事務職と違い「活躍できる事務職」とは何か。
それは「今後企業が果たすべき義務に携われる事務職」と「プレイヤーの少ない事務職」です。
今後企業が果たすべき義務に携われる事務職とは
今後企業が果たすべき義務に携われる事務職とは、労務管理です。
労務は、労働基準法に基づく勤怠管理や給与管理、社会保険や福利厚生の手続きなど、従業員を守る役割を担っています。
中小・ベンチャー企業では、人事や総務が兼任することが多いですが、大企業では従業員も多い為「労務部」という独立した部として存在します。
労務と「今後企業が果たすべき義務」との関係ですが、直近の大きなトピックとして「パワハラ防止法(正式名称:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法とも呼ぶ))」があります。
パワハラ防止法への対応
昨今、ハラスメント問題の話題が絶えません。
昔から問題になっていましたが、パワハラの基準を法律で定めることによって、具体的な防止措置を企業に対して義務化しました。
日本企業の約8割は中小企業のため、今まさにハラスメント対策の主導を労務に関わる人材が主導している状態です。
参考:厚生労働省|職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕
コンプライアンス強化の一助を担える法務職
2021年3月に会社法が改正され、社外役員を選任するのが一部の大企業で義務化されました。
他にも、コーポレートガバンスコードへの対応やサステナビリティ、ダイバーシティ推進といった、法務面から企業を支える法務部員の存在も貴重です。
基本的には中途採用でしか窓口が開いていないため、パラリーガルなどを経験した人がなることが多いです。
まとめ
事務職には、一般事務・営業事務・経理事務など、多くの種類があります。
転職活動の際には、自分のスキルや経験を活かせる事務職に応募することでマッチングしやすくなるでしょう。
また事務職はどれも人気が高いため、転職エージェントの非公開求人を活用するなどして効率よく転職活動を進めてください。
AG法律アカデミー
最新記事 by AG法律アカデミー (全て見る)
- 法律事務所にはセクハラが少ない! - 2025年5月11日
- こんな法律事務所は辛い?ブラック事務所の特徴と見極め方!よくある誤解まで徹底解説 - 2025年4月13日
- パラリーガルを辞めたい9つの理由と対処法|辞めたあとに活躍できる転職先も紹介 - 2025年4月10日