こんな法律事務所はやめたほうがいい?ブラック事務所の特徴と見極め方からよくある誤解も解説

法律事務所 やめた方がいい

弁護士や法律事務所についてまとめた『弁護士白書』によれば、2020年3月時点で法律事務所は全国に1,7417事務所もあります。

  2018 年 2019 年 2020 年
1人事務所 10,038 10,374 10,525
2人事務所 2,968 3,145 3,124
3~5人事務所 2,638 2,650 2,639
6~10 人事務所 746 751 776
11~20 人事務所 232 230 244
21~30 人事務所 52 58 56
31~50 人事務所 27 26 33
51~100 人事務所 8 7 9
101 人以上事務所 11 11 11
合       計 16,720 17,252 17,417

※参考:弁護士白書 2020年版

弁護士が1人の事務所から100人を超す事務所までさまざまな規模の事務所がある中で、どの法律事務所が良いのか悪いのかを見極めるのは至難の業といえるかもしれません。

しかし、転職は職業人生の行方を左右する一大イベントであり、失敗すれば後悔することになってしまいます。

応募先の法律事務所が自分に合っているかの確認を丁寧に行うことで、失敗のリスクはある程度下げることが可能です。

この記事では、パラリーガル・弁護士秘書の転職支援・資格スクールを10年以上運営する『AG法律アカデミー』が、法律事務所への転職失敗例やブラック事務所の特徴を紹介しながら、法律事務所を見極めるポイントを解説します。

 

法律事務所で働くことをやめたほうがいいと「誤解」される主な理由

事務スタッフのスキルや経験は法律事務所ではなく、一般企業で活かすことも可能です。そのため、そもそも転職先として法律事務所を選ぶべきかどうか迷っている人もいるでしょう。一般企業ではなく法律事務所で働くことは正しい選択なのでしょうか?

以下では、法律事務所で働くはやめたほうが良いと言われている主な理由をご紹介します。

クセの強い弁護士が多いから大変?

弁護士と一緒に働くことの大変さとして、「弁護士はクセの強い人が多い」という意見が挙げられます。

  • 「クセの強い人の下で働くのは苦労が絶えないからやめたほうがいい」
  • 「一般企業のように部署異動で上司を変えられない」

といった理由から法律事務所を勧めない人がいます。

確かに、弁護士は若くして「先生」と呼ばれる仕事であり、一般企業での社会人経験を積まずに弁護士になるケースが一般的ですから、いわゆる組織で働いた経験のない方のもとで働くことに抵抗を感じるのかもしれません。

ただ、法律事務所も会社と同じく「人間関係」で成り立っている立派な組織です。また、一般民事事件をあつかう事務所であれば、毎日相談者と話し合いの場を設けている職業ですので、むしろ一般企業の社会人よりもコミュニケーションに長けているといっても良いでしょう。

もちろん全員がそうであるとは言いませんが、ごく一部の弁護士だけであると言えます。

雑用ばかりでスキル・能力が向上しない?

事務スタッフの業務は雑用が多いため、スキルや能力が向上しないと言われる場合もあります。

法律の専門性を活かして働こうと思っても、結局は弁護士の補助にすぎず、スキル・能力につながる業務を任せてもらえないなどの声も聞かれます。

しかし、事務員であっても弁護士をサポートするスキルは磨かれます。

例えば、

  • スケジュール調整のスキル
  • 書類をわかりやすく整理するスキル
  • ビジネスマナー など

また、なんといっても『法律に関する専門知識』が身につきますので、その経験をもって一般企業の法務部に転職するケースも多くあります

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給与が低く、福利厚生もない?

給与が低くて生活が厳しい、福利厚生もないのでやめたほうがいいとの意見もあります。福利厚生で『社会保険』や『雇用保険』はあっても、大手法律事務所にあるが、その他の中小規模事務所には手当てがないケースというのは確かにあります。

それは法律事務所で働く前に確認すべきでしょう。

法律事務所の給与で言えば、事務職の平均年収は332万円のところ、

ですので、決して低くはありません。

休みが取りにくいのではないか?

休みが取りにくいのも法律事務所を避けるべき理由として指摘されます。実際に働いている人からは「親族の冠婚葬祭にも休みが取れなかった」などの声が聞かれることもあります。

これは法律事務所の体制にもよりますが、基本的には法律事務所も土日祝日はお休みにしているところは多いです。

2010年に日本弁護士連合会が取ったアンケート結果[弁護士の就労時間(1週間の平均)]によれば、『弁護士の週間平均就労時間の中央値は47.8時間、平均値は46.5時間』という結果が出ています。

つまり、8時間労働とした場合、残業が1日1時間程度あるイメージになります。法律事務所は弁護士がいなければ法律業務は行えませんので、事務職員も必然的におやすみになります。

 

こんな法律事務所はやめたほうがいい!ブラック法律事務所の特徴6選

「こんな法律事務所はやめたほうがいい」と言われる、ブラック法律事務所の特徴を解説します。法律事務所選びの参考にしてください。

基本給が低すぎる

先にお伝えすると、法律事務所の事務スタッフの給与は決して高くありません。そのため給与の高さを第一条件に法律事務所を選ぼうとすると、選択の幅が非常に狭くなり、転職活動が思うように進まないでしょう。

ただし、極端に低いということはなく、ほかの職種と比べても平均~やや低いくらいの位置づけです。相場としては基本給で18万~23万円ほどです。事務所規模や勤務地(都心か地方か)、経験年数等によっても違いがあります。

基本給のほかに残業代や賞与もありますが、労働条件の中核ともいえる基本給が低すぎる場合は、ほかの労働条件も悪い可能性があります。相場を大きく下回る基本給であれば、最低賃金法に抵触する可能性すらあり、完全にブラック法律事務所だといえます。

労働条件の説明が曖昧

求職者にとって労働条件は転職先を決めるうえで非常に重要な要素です。にもかかわらず、労働条件の説明を曖昧にしたがる法律事務所はブラックの可能性が高いでしょう。曖昧にしておけば後で「そんなことは言っていない」と言い訳ができるため、明確にしておきたくないのです。

求職者としては、面接で詳細を確認したうえで、入所時の雇用契約書も丁寧にチェックすることが大切です。少なくとも求人票や募集要項の情報だけで転職を決めてしまわないようにしましょう。

サービス残業がある

サービス残業がある法律事務所も避けるべきです。高くない賃金で働かされたうえに残業によって心身の負担が増えるだけでいいことは何もありません。

法律事務所は法律に精通しているので、サービス残業はさすがにないだろうと考えるかもしれません。しかし法律家であっても法律を守らない人はいるもので、むしろ法律の抜け穴を狙ってサービス残業をさせている可能性があるという点では悪質です。

職場の雰囲気が悪い

長く働くにあたって職場の雰囲気は非常に大切です。雰囲気が悪い法律事務所もやめたほうがいいでしょう。そこで働くスタッフの不満が蓄積されている可能性が高く、親切に教えてもらえない、離職者が多く出るなどして自身へのしわ寄せがきてしまいます。

スタッフの不満は人間関係や労働環境、労働条件などさまざまに考えられますが、いずれにしても何かしらの問題がある法律事務所である可能性が高いです。

弁護士または弁護士の配偶者によるパワハラが横行している

事務スタッフは法律家ではないため、弁護士の指示のもと業務のサポートを行います。そのため弁護士との上下関係が明確になりやすく、パワハラとも呼べる扱いを受けてしまうケースがあります。

また小さな法律事務所では「代表弁護士の配偶者がやたらと口を出してくる」といった不満があるケースもあります。事務スタッフに対して暴言を吐く、使用人のようにこき使うなど配偶者によるパワハラが横行している事務所も存在するようです。

非弁行為の噂がある

弁護士法では弁護士でない者が事件の斡旋、紹介を受ける行為などを非弁行為として禁止し、弁護士が弁護士でない者から事件の紹介を受けることなどを非弁提携として禁止しています。

もし非弁行為・非弁提携の噂がある法律事務所であれば、やめたほうがいいでしょう。あくまでも噂なので鵜呑みにはできませんが、火のない所に煙は立たないともいいます。事務スタッフであっても非弁行為に関われば自身のキャリアに傷がついてしまいます。

 

法律事務所への転職に失敗するケースが少なくない

最初に、法律事務所への転職ではどのような失敗が多いのかを確認しましょう。

ごく短期間で辞めてしまう人が一定数存在する

法律事務所へ転職した人の中には、転職後ごく短期間で辞めてしまう人が少なからず存在します。せっかく転職したのに短期間で辞めれば経歴に傷がつき、再転職の際にうまくいかない要因になるなど負のループに陥ってしまいます。こうなる要因のひとつに、転職活動の際の確認不足が挙げられます。

特殊な業界で情報が少ないため情報収集が手薄になりがち

法律事務所の求人は転職サイトやハローワーク、事務所HPなどに掲載されるケースが多数です。転職エージェントは採用コストがかかるため、法律事務所の採用活動ではあまり利用されません。

これを求職者の立場から見たときには、自力応募が基本となるため、情報収集が手薄になりやすいという難点があります。

転職エージェントは独自の情報網を用いて応募先の詳細な情報を提供してくれるのが大きなメリットのひとつですが、一般的な転職エージェントでは法律事務所への転職活動ではこのメリットは享受しにくいのかと思います。

つまり、事前に法律事務所の情報をしっかり確認せずに転職を決めてしまうため、「思っていたのと違った」というギャップが生まれやすくなるのです。

イメージだけで転職して失敗するケースも多数

イメージだけで転職して失敗するケースも多くあります。法律事務所というと、ドラマや映画などでは裁判で勝利する場面や、スタッフ総出で事件の調査に乗り出す場面などが描かれているため、華やかでかっこいい世界をイメージする人は少なくないでしょう。

もちろんこれらのイメージは完全に間違いだとも言い切れませんが、実際の業務は地味で根気がいるものが大半です。ほとんど毎日パソコンに向かって業務を進めますし、「雑用が多い」と感じるケースも多々あります。

法律事務所への転職は「正しい情報を基に重要ポイントを確認すること」が大切

法律事務所への転職は自力応募が基本となるため、求人票・募集要項の情報やイメージだけに頼らず、自分でしっかり確認することが重要です。当たり前のことのようですが、できずに失敗してしまう人も多いので心に留めておきましょう。

 

良い法律事務所と悪い法律事務所を見極める9つのポイント

応募先が良い法律事務所かどうかは何を基準に判断すればいいのでしょうか?求職者ができることを解説します。

面接で弁護士や事務スタッフの人柄をよく観察する

面接の際には弁護士の人柄を観察しましょう。面接だけですべてを判断するのは難しいですが、少なくとも面接の時点で何らかの違和感があればやめたほうがいいと考えられます。

HPやブログなどで弁護士の考え方を確かめる

事務所のHPやブログなどで弁護士が情報を発信している場合があります。弁護士がどんな価値観・考え方を持っている人物か参考になるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。

基本給が妥当かどうかを検討する

基本給が相場と比べて低すぎないか、反対に高すぎないかを検討します。低すぎる場合は事務スタッフへの評価が極端に低い可能性がありますし、高すぎる場合は業務量が多すぎる・休日が少ない・事務スタッフの枠を超えた能力を求められるなど苦労する可能性があります。

重要なのは、その業務に対して妥当な金額かどうかです。額面だけでなく業務内容とのバランスを注視しましょう。

求人票・募集要項に書かれている基本給に幅がある場合も注意が必要です。たとえば基本給の項目に「※経験による」と書いてある場合、「20万~23万円」程度の幅ならまだしも、「20万~40万円」は幅が大きすぎるでしょう。

「頑張れば30万円も稼げるの?」と期待してしまいがちですが、実際に30万円稼ぐにはいくつもの条件があるケースが多いので注意が必要です。

スタッフ・元スタッフの口コミをチェックする

求人票・募集要項では必要最低限の情報しか得られないため、実際に働いていた人の口コミをチェックしましょう。もちろん鵜呑みにすることはできませんが、求人情報だけをもとに入所するより失敗するリスクを下げることができます。

Open Workやキャリコネ、転職会議など最近はいくつもの口コミサイトが存在します。特に大手・準大手の法律事務所であれば掲載されている可能性が高いので確認しておきたいところです。

横のつながりで事務所の評判を聞いてみる

パラリーガルの専門学校に通っている、法科大学院出身であるといった場合は、同期生や教授など横のつながりで気になる法律事務所の評判を聞いてみるのも方法です。

法律事務所は多数ありますが、士業業界は意外と狭い世界なので悪い評判はすぐに広がりやすいものです。

悪い評判がある法律事務所は応募を避けるか、応募するにしても慎重に見極めるようにしましょう。

雇用契約書を隅々まで確認する

募集要項や面接でもある程度の労働条件を確認することができますが、最終的に重要なのは雇用契約書です。

給与や業務内容、労働時間など隅々までチェックしましょう。入所してから「よく見たらこんなことが書いてあった」と後悔するのではなく、働き始める前に確認し、不明な点があれば聞いておくことが大切です。

弁護士が過去に懲戒処分を受けていないか確認をする

代表弁護士や所属の弁護士が過去に懲戒処分を受けていないことも確認しておきましょう。

弁護士懲戒処分検索センター』というサイトがありますので、ここに弁護士本人のお名前か、『弁護士登録番号』を入力することで、その弁護士が過去に違反行為をしていないか確認することができます。

公式サイト:http://shyster.sakura.ne.jp/

懲戒処分には4種類あります。

  1. 戒告:注意を受けた経験
  2. 業務停止:弁護士としての仕事を一定期間停止させらている
  3. 退会命令:所属している弁護士会から追い出された
  4. 除名:弁護士資格の剥奪

内容にもよりますが、『戒告』であればさほど気にしなくても問題はないものの、業務停止以上の処分を受けている場合は慎重になった方が良いでしょう。

事務スタッフとして弁護士の妻が入っている事務所は避けるのが無難

稀にですが、代表弁護士等の配偶者が事務員として働いているケースがあります。こういった事務所も避けるのが無難です。

理由として・・・

  • 同じ事務スタッフでも,弁護士の妻の立場が上になる(力が強くなる)
  • 弁護士や事務所に対する愚痴が言えない(言うと弁護士に筒抜けになる)
  • 弁護士よりも妻の方が強いため,弁護士も妻に何も言えない など

悪い意味で実権を握られているケースがあるからです。

他方、夫婦で弁護士をやっている事務所は問題ありません。もちろん絶対はありませんが、お互いに弁護士という職業や立場、権利については弁えているので上記のような問題は起こりにくい傾向にあります。

弁護士の数と事務職員の数が極端に差がある事務所は避けるのが無難

例えば、代表弁護士が1名に対して事務スタッフが20名所属している事務所のイメージです。

こういった事務所は『過払い金請求に特化した事務所』であるケースが多く、債務整理は事務員でも処理できる案件が主流のため、大量に同じ作業(受電や督促)の繰り返しが日常業務となっており、

  • 法律事務スキルが身につかない
  • 各事務処理について弁護士の目が届かず,非弁問題が生じる恐れがある
  • 短期間で事務員の入れ替わりが多い

といったことが挙げられます。

 

法律事務所への転職におすすめの人|こんな人なら前向きに転職を検討しよう

以下のようなタイプの人は法律事務所で働くことに適性があります。法律事務所に興味があるなら転職を前向きに検討してみてください。

事務スキルがある

事務スキルは法律事務所でいかんなく発揮できるでしょう。法律事務所での勤務経験がなくても、一般企業で事務スキルを磨いてきた人なら評価される可能性も高いです。

人のサポートにやりがいを感じられる

人のサポートが好き、やりがいを感じられる人は法律事務所に向いています。事務スタッフは弁護士を支えるのはもちろんですが、弁護士業務のサポートを通じて法律問題で困っている人のためにもなる仕事です。

法律に興味がある

法律に興味がある、法律の勉強をしているといった人も適性があります。継続して勉強を続ければスキルアップにつながり、自身の成長も感じやすいでしょう。

高収入ではなくてもほどほどの給与で満足できる

法律事務所で働くと、高収入とはいかなくても、一人で生活できる程度の給与は得ることができます。贅沢はできないかもしれませんが、堅実な生活であればやっていける収入です。残業も少なめなのでワークライフバランスを保ちやすく、長く続けることもできます。

まとめ

法律事務所とひとくちに言っても、規模や取り扱い案件、事務所方針は多種多様です。弁護士にもさまざまなタイプの人がいるので一概に「法律事務所はやめたほうがいい」と言えるものではありません。

ただし、ブラック事務所と呼ばれる事務所が存在するのも事実です。法律事務所を選ぶ際には情報収集を丁寧に行い、後悔のない転職につなげましょう。

本記事を解説している『AG法律アカデミー』は10年以上、パラリーガルを目指す方を専門とした資格試験講座を運営しており、国内唯一の専門スクールとして知られています。資格講座を受講された方には、法律事務所への転職支援も行なっており、事務所の特徴や具体的にどのような仕事をするのか、詳しくご案内しております。もしご興味がある方は、ぜひ無料説明会におこしください。より詳細な説明をさせていただきます。

 


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