法律事務の基礎【さまざまな紛争解決方法を知っておこう!】
最近はコンビニエンスストアに車が突っ込んだり、
スマートフォンを運転中に操作していて事故を起こしたりと
交通事故のニュースが多いですね。
もし、交通事故を起こしてしまった場合、
どのように事故の処理がなされるのでしょうか。
法律事務所を訪れる方の多くは、
すでに紛争に巻き込まれている場合が多く、
事前にどのように処理がなされるかを知っておくことは
パラリーガルとして勤務する上で役に立つことと思われます。
そこで、今回は、交通事故を例に、
さまざまな紛争解決方法について一緒に見て参りましょう。
|刑事事件としての処理
交通事故を起こして誰かにけがをさせてしまった場合、
事故を起こした加害者を被告人として、刑事事件として
処理されることが考えられます。
具体的には、業務上過失致傷罪(刑法211条)、危険運転致死傷
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条)、
過失運転致死傷(同法5条)道路交通法違反として
処罰されることが考えらます。
この場合、被疑者を逮捕したり、起訴したりするのは
警察や検察のお仕事なので、弁護士は、
被疑者や被告人の弁護人として弁護活動を行います。
※参考:「HERO」で元SMAPの木村拓哉さん演じた「検察官」ってどんな人?
※参考:パラリーガルなら知っておきたい「被疑者」「被告人」「容疑者」の違い
|行政事件としての処理
交通事故の態様等によっては、
免許の取消し等の行政処分が行われます。
免許取消し等の行政処分に不服がある場合、
弁護士は、行政不服審査や行政事件訴訟によって
行政処分の取消しを求めたり、執行停止(行政処分の効力を
一時的に停止して、運転できるようにしてもらうこと)を
求めたりするなど必要な弁護活動を行います。
|民事事件としての処理
交通事故の被害者が怪我をしてしまった場合、
不法行為に基づく損害賠償(民法709条)を
請求してくることが考えられます。
ただし、交通事故が起きた場合、
訴訟という強硬な手段を
いきなりとることはあまりありません。
まずは当事者が自らの意思で交渉して解決する「示談」
によって紛争を解決を試みることが多いです。
この「示談」は、法律的には、
- 裁判外の和解
- 民法上の和解契約(民法695条)
と呼ばれるものです。
この時点で解決してしまう事案もとても多いです。
示談によっても解決しない場合、
次は、中間的解決方法といわれる、
- 調停(民事調停法1条)
- 訴え提起前の和解ないし即決和解(民事訴訟法275条)
によって紛争の解決を試みます。
ただ、調停も即決和解も当事者双方の同意が
必須となっているため、そもそも相手方が
同意してくれなければ利用することができません。
そのような場合は、
強制的な解決方法である民事訴訟によって
紛争を終局的に解決するほかありません。
民事事件において弁護士は、
被害者側・加害者側、どちらの側に立つことも考えられます。
被害者側にたった場合は、被害者の損害が
少しでも多く填補されるよう弁護活動を行っていきます。
逆に、加害者側に立った場合は、
少しでも加害者の負担を減らすことができるように
弁護活動を行っていきます。
事実としてはひとつの事件であっても、
紛争解決にあたってこんなにたくさんの
切り口があるなんてとても興味深いですよね。
パラリーガルは、それぞれの弁護士の役割に応じて、
判例や文献を調査したり、裁判所や相手方と連絡を行ったり
するなどして、弁護士の業務をサポートしていきます。
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