「公正証書」とは? — 効力・メリット・費用・作成方法を徹底ガイド

最近、テレビドラマやバラエティー番組で、法律問題、特に婚姻、離婚、相続時のトラブルを扱うことが増え、「公正証書」という言葉を耳にする機会も多くなりました。

 

この「公正証書」は、私たちの人生の重要な局面に大きな安心と効力をもたらす公的な証書です。
言葉は知っていても、その具体的な効力や作成方法まで知っている人は少ないのではないでしょうか。

 

ここでは、この公的な証書が持つ最強の効力から、具体的な作成の流れ、費用までを徹底解説します!

 

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公正証書とは?

 
公正証書とは、公証人が、当事者からの嘱託(依頼)に基づき、公証人法などの法律に従って適正に作成する公文書です。
 

公証人は、長年法律実務に携わった裁判官や検察官、弁護士などから法務大臣が任命する法律の専門家であり、公務員としての権限を持って職務を行います。

 

なぜ、わざわざ公正証書にするのか?

公正証書を作成する理由は、大きく分けて以下の3つの重要なメリットがあるからです!

 

3つの大きなメリット

 

メリット1:安心・安全な保管

 

作成された公正証書の原本は、公的な機関である公証役場において法令に基づき厳重に保管されます。

  • 原本が紛失することはまずなく、第三者による偽造や変造の心配もありません。
  • 契約当事者には正本(債権者側)や謄本(債務者側)が交付され、万が一それらを紛失した場合でも、公証役場に請求すれば再交付を受けることができます。
 

メリット2:高い証明力を持つ

 

公正証書は、公務員である公証人が権限に基づいて職務上作成した公文書であることが明白です。

民事訴訟法第228条第2項の規定により、「真正に成立した公文書と推定する」という強力な証明力が認められています。

この「成立の真正」とは、その文書が作成名義人の真の意思に基づいて作成されたことを意味します。

裁判で、公正証書に記載された内容(特に文書の成立の経緯)について、本人の意思とは異なる、と争われるリスクが極めて低いのです。

 
 

メリット3:執行力
裁判なしで強制執行が可能

 

これこそ、公正証書が持つ最大の強みです!

通常、金銭の支払いを求めるために強制執行を行うには、裁判を起こして確定判決や仮執行宣言付判決といった「債務名義」を得る必要があります。

しかし、裁判には時間と費用がかかり、その間に債務者の財産が散逸してしまう危険性があります。

そこで!
一定の要件を満たした公正証書(執行証書)があれば、裁判を経ることなく、直ちに強制執行手続きを行うことが可能になります。

 
 

執行証書となるための要件

 

公正証書が執行証書として機能するためには、以下の要件をすべて満たし、特に「執行受諾文言」が含まれていることが不可欠です。

 

1,公証人が権限の範囲内で正式に作成した証書であること。

 

2,一定額の金銭の支払い、または代替物・有価証券の一定量の給付を目的とする請求権が特定され、表示されていること。

 

3,債務者が、裁判上の手続きを経ることなく強制執行に服することを受諾する意思(執行受諾文言)が公正証書に表示されていること。

 

執行受諾文言は、公正証書に

「債務者は、本公正証書記載の金銭債務を履行をしないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」

といった文言で記載されます。

 

公正証書でなければ効力が生じない契約もある

一般に、公正証書を作成するかどうかは当事者に委ねられますが、一部の重要な契約においては、公正証書による作成が法律上の効力要件とされているものもあります。

  • 事業用定期借地権の契約書
    (もっぱら事業の用に供する建物所有目的で、更新がなく確定的に終了する借地契約)
  • 任意後見契約の契約書(任意後見契約法第3条)
 

作成方法、費用、そして必要な持ち物

 

1. 公正証書の作成にかかる費用

公正証書を作成するにあたっては、公証人手数料令の定める手数料を支払う必要があります。
法律行為(契約など)に関する証書作成の手数料は、原則として目的額によって変動します。

  • 目的額とは、「その行為によって得られる一方の利益、または負担する不利益を金銭評価したもの」とされています(訴訟における訴額とは異なります)。
  • 売買契約のような双務契約(双方が義務を負う契約)の場合は、双方が負担する額の合計額が目的額となります。
  • 任意後見契約のように金銭評価が不可能なものについては、一律500万円とみなして手数料が算定されます。


(※参考:日本公証人連合会HP)

2. 公正証書の作成に必要な準備と持ち物

公正証書を作成するには、原則として当事者または代理人が公証役場に出向いて、公証人の面前でその内容を口授(説明)しなくてはなりません。

そのため、まずは公正証書にしたい契約の原案を文書等にしっかりとまとめておく必要があります。

この事前準備を怠ると、何度も役場に出向くことになり二度手間となるため注意が必要です。

また、本人確認のための身分証明が求められます。

誰が出向くか 必要な持ち物(代表例)
本人が直接出向く場合 印鑑証明書+実印
または
顔写真付の身分証明書(運転免許証など)+認印
代理人(弁護士・パラリーガル等)が出向く場合 1. 本人の実印が捺された委任状
(白紙委任状は不可)
2. 本人の印鑑証明書
3. 代理人の身分証明書

厳密には持ち物ではありませんが、公正証書を作成する際には、証人が必要となる場合があります。
本人たちで用意できない場合は、公証役場に依頼して確保してもらうことも可能です。

その他、相続関係の証書の場合は戸籍謄本が必要になるなど、作成する公正証書の種類によって持ち物が異なってくるため、必ず事前に公証役場に確認するようにしましょう。

3. 公正証書作成の流れ

まずは、公証役場に電話で連絡をして、公正証書作成の予約をとりましょう。

事前にFAXで内容を送ることができる場合もあります。

予約した日に、公証役場へ出向きましょう。
公証役場は全国の主要都市300カ所ほど存在します。
※参考:日本公証人連合会HP「公証役場所在地一覧」

当日のおおまかな流れは、下記の通りです。

まとめ

 

公正証書は、婚姻時や相続時だけではなく、近年は、養育費の取りっぱぐれを防止するためや、高齢者が任意後見契約を締結するためにもよく利用されるようになってきています。
法律事務所にもそれだけ相談が入ることが多くなっています。
従って、法律事務所で働くパラリーガルとしては、公正証書についてさわりだけでも知っておいて損はありません!

 

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