【民法の基礎】相続って何だろう?(1)【相続、相続人、代襲相続】
近年、エンディングノートが流行したり、テレビ番組で
相続についての問題がクローズアップされているのもあって、
相談にいらっしゃる方が増えてきています。
&
パラリーガルとしては、
完璧に理解している必要張りませんが、基礎知識くらいは知っておきたいですよね!
そこで、今回から、数回にわたって、基礎を一緒に見て参りましょう。
相続って何だろう?
相続とは、死亡した人(被相続人)の財産を、
残された人(相続人)が承継することをいいます。
この場合の「財産」には、不動産や現金などのプラスの資産の他、
借金やローンなどのマイナスの資産(負債)も含みます。
誰が相続人になるの?
民法は、相続人の範囲を、
- 配偶者(民法890条)
- 子(民法887条1項)
- 直系尊属(自分よりも前の世代にある血族,民法889条1項1号)
- 兄弟姉妹(民法889条1項2号)
に限定しています。
1の配偶者ついては、常に相続人になりますが、
2~4については順位が決められていて、
2~4の順番で、自分より優先する順位の者が
存在しない場合に限って相続権をもちます。
また、子については、実子であっても養子であっても
第一順位の相続人として同じように扱われます。
相続人になれない人もいる
たとえ被相続人との身分関係では相続人の地位にある人であっても、
次のような場合には相続権がありません。
相続開始時にすでに死亡している人
相続は、被相続人の死亡時に、法律上当然に
被相続人の財産をそのまま(包括的に)承継するものなので、
相続人は、被相続人の死亡時に
少なくとも胎児として存在している必要があります。
従って、相続開始時に
すでに死亡している人には相続権はありません。
相続欠格事由に該当する人
法律に定められた欠格事由(民法891条1号~5号)に
該当する場合は、法律上当然に相続権がありません。
この欠格事由は、被相続人や相続人の生命を侵害した場合や
遺言の自由を侵害した場合など、
相続制度の根幹を揺るがすような重大な非行・不正事由を
類型的に定めたものなので、
欠格事由に該当した場合、法律上当然に相続権が失われます。
相続人から廃除された人
欠格ほどの非行・不正はないけれども、
被相続人が「相続させたくない!」と思うのも無理もないと
思われるような事由がある場合には、
被相続人が家庭裁判所に「廃除」の申立てをしたり、
遺言によって廃除の意思を表示しておきます。
廃除は、相続人に権利として保障される相続権(及び遺留分)を
剥奪するものなので、単に気にくわないという理由だけで
廃除することはできません。
民法で廃除することができるとされているのは、
- 相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱をした
- 相続人にその他の著しい非行がある
場合に限られています(民法892条)。
※遺留分については別のコラムであらためて説明します。
相続放棄をした人
相続放棄をした場合は、相続に関してははじめから
相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。
※参考:「みなす」と「推定する」の違いについて知っておこう!
代襲相続
上で見たように、「死亡」「廃除」「欠格」「放棄」
という事由があれば、相続人は相続権を失います。
もっとも、相続開始時に、相続人が「死亡」「欠格」「廃除」
に該当する場合は、その相続人の子供がその相続人に代わって
被相続人から直接相続することができます
(代襲相続,民法887条2項・889条2項)。
なお、「放棄」は、相続人が「自分の系統には遺産は不要」との
意思を表明したものと考えられるため、代襲相続ができません。
代襲相続は、本来の相続人をとばして相続させるものなので、
被相続人の財産が「外」に流出しすぎないように、
一定のルールが定められています。
- 被代襲者(相続権を失ったために相続できない者)は、
被相続人の子または兄弟姉妹に限られる(民法887条2項・3項、889条2項) - 代襲相続人は、被代襲者の子でなければならない(民法887条2項但書)。
- 代襲相続人は、被相続人の死亡時に、
少なくとも胎児として存在してなければならない。
なお、被代襲者の子も代襲相続権を失ったような場合には、
被代襲者の子にさらに直系卑属(自分から直下した血族)がいれば、
直系卑属がさらに代襲相続することになります(再代襲)。
再代襲の場合は、被代襲者が被相続人の兄弟姉妹の場合は認められない
点に注意しましょう(民法889条2項は887条3項を準用していない)。
ちょっと駆け足になってしまいましたが、ご理解いただけましたでしょうか?
まだまだ続くので、次回以降も是非、お付き合いくださいね!
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