事務職は人気だけど転職は厳しい3つの理由と今後必要とされる事務職・なる方法を解説

事務職は非常に人気が高い職種です。一般的には高い収入を得にくい職種ではありますが、ワークライフバランスの取りやすさなどから人気を集めています

事務職に転職したいと考える人は多いですが、人気の高さから転職できる可能性はどれくらいあるのか気になっているのではないでしょうか?

この記事では事務職が人気の理由や事務職の転職事情について解説します。

今後必要とされる事務職の種類や転職を成功させるために何が必要なのかも確認しましょう。

事務職が人気と言われる5つの理由

まずは事務職が人気と言われる理由を解説します。

残業が少ない会社が多い

事務職は残業の少なさから希望する人が多く、人気が集中する傾向にあります。転職エージェント「doda」が行ったビジネスパーソン向けのアンケートによれば、2019年における残業が少ない職種の第2位が事務・アシスタントでした。

月11.1時間なので、出勤日が平均的な20日前後だとして、残業は0時間~1時間といったところです。

事務人気

※参考:doda|残業時間ランキング2019

日本能率協会が新入社員に対して実施した調査によれば、仕事よりもプライベートを優先したいと考える新入社員は全体の78.1%を占め、若者世代はプライベートの時間を重視することが分かっています。

毎日0~1時間の残業であれば、プライベートの時間を作りやすいでしょう。(参考:一般社団法人 日本能率協会「2019年度 新入社員 意識調査報告書」

また事務職は家事・育児などで家庭を支える機会の多い女性から人気の高い職種なので、残業が少なく家庭との両立が図りやすいという意味でも事務職に人気が集中すると考えられます。

土日に休める会社が多い

事務職は社内向けの業務が多く、営業のように顧客と直接やり取りをする機会は多くありません。そのため突発的な業務が発生しにくく、土日に休める会社が多くなっています。

一般にオフィスワーカーは土日休みが多いため家族や友人との時間を作りやすく、2日連続の休日なので身体をゆっくり休めることができます。

デスクワークで体力的な負担が少ない

事務職の業務内容はデスクワークが中心です。1日中の立ち仕事である接客業や工場勤務、炎天下や極寒の中でも外出の必要がある営業などに比べれば体力的な負担は少ないでしょう。そのため年齢を重ねても長く働きやすい職種であるといえます。

未経験や無資格でも応募しやすい

事務職の求人には、未経験や無資格でも応募しやすい求人が多数あります。そのため「キャリアチェンジを考えているが経験がないので不安」という人が求人を探すのはそれほど難しくありません。

特に20代であれば人柄や意欲などから採用に至るケースは多くあります。

ノルマに追われるなど精神的ストレスが少ない

営業や販売は会社からノルマを課される、対顧業務が中心となるなど精神的ストレスを受けやすい職種です。ノルマがモチベーションになる、接客が好きという人であれば問題ないのですが、プレッシャーに感じやすい人にはストレスになるでしょう。

事務職にはこの種のストレスは少ないため、精神的に気が楽だと感じる人が多いです。

事務職は人気だけど転職事情は厳しいって本当?

人気の事務職ですが、転職事情は厳しいと覚悟しておく必要があります。以下でその理由を解説しましょう。

事務職の有効求人倍率は低い

厚労省によれば、2020年10月における事務的職業の有効求人倍率は0.33倍でした。

有効求人倍率とは求職者1人あたりにつき何件の求人があるのかを示す指標で、1倍を下回ると求人数よりも求職者数が多いことを示しています。

つまり、数値が低いほど転職市場は厳しいということです。同月における職業全体の有効求人倍率は0.97なので、事務職の転職事情がいかに厳しいかはお分かりいただけるでしょう。

参考:厚労省|職業別一般職業紹介状況【実数】(常用(含パート))

もちろん2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で転職市場全体が厳しかったことも影響していますが、事務職に限ってはコロナ禍以前から有効求人倍率は低めです。

有効求人倍率はリーマンショックの影響を受けた2009年度頃を底値として上昇傾向にあり、2018~2019年度にはピークを迎えていましたが、そのときでさえ事務職の有効求人倍率は0.54倍と全体の1.50倍を大きく下回る厳しい値でした(平成31年3月期)。

正社員の求人が少ない

近年は事務業務に対してアウトソーシングや派遣を活用する企業が増えているため、正社員の事務職の求人は少なめです。

また、事務職はもともとの人員数が少ないうえに長く働きやすい職種であることも関係し、欠員募集が出る機会が多くありません。正社員の事務職を探そうと思っても数が少なく、求人がでても応募者が殺到するのが現状です。

AIに代替される業務が多い

データ入力や単純な書類作成などの多くはAIに代替されつつあります。そのため単純作業をする事務職の募集は減り、高度なスキル・経験がある事務職を求める傾向が強まっています。

したがって事務職の転職事情は、求人数が少ないうえに採用ハードルも高まっているという厳しい状況です。

これからの時代に人気になる・必要とされる事務職とは?

事務職の中でも、AIの台頭などによって淘汰されていく事務職と、これからの時代に人気が高まると予想される事務職があります。

長く働くことを考えれば、今後必要とされる事務職を視野に転職活動を進める必要性もでてきます。以下に挙げる事務職は将来性が高いため、自身の適性と照らして検討してみましょう。

労務

2019年6月5日、労働施策総合推進(旧:雇用対策法)が改正され、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。

あわせて男女雇用機会均等法や育児・介護休業法のセクシャルハラスメントに係る規定が一部改正され、これまで以上に職場のハラスメント対策が重視されています。

これらの法改正や社会情勢の流れを受け、事務職の中でも労務の知識や経験を持つ人のニーズが高まっています。企業はハラスメント対策を非常にセンシティブな問題と受け止め、社内体制の強化に力を入れているからです。

法務

労務と連動してニーズが高まっているのが法務の知識、経験のある事務職です。

昨今、企業価値を判断する基準としてコンプライアンスが重要になっています。日本では企業の相次ぐ不祥事がマスコミで取り上げられたことで社会的な批判につながり、コンプライアンス強化の必要性を求める声が高まりました

上場企業においても「不祥事を防ぐために経営の監視を強化すべき」といった投資家らの声が高まり、コーポレートガバナンス(企業統治)に対する意識がこれまで以上に厳しくなっています。

国際的に見ても、健全で効率的な企業経営を実現するためにコンプライアンスが重要であるという考え方が浸透しています。こうした経営環境の変化を受け、法的観点から経営を支える法務の必要性が高まっているのです。

人事

昨今の採用状況は、特定の職務経験がある人を採用するジョブ型雇用の台頭や、Webメディア・SNSを使った採用手法の導入など大きな変化の真っ只中にあります。

また新型コロナウイルスの蔓延にともなう不景気やテレワーク普及の影響から、転職市場では厳選採用の動きが広がっています。このような中で、採用状況の著しい変化に対応しながら、優秀な人材を確保できる人事事務のニーズが高まっています。

経営戦略を理解して人材を有効活用できる人事担当者にはぜひ来てもらいたいと考える企業が多くあるため、人事はこれから必要とされる事務職のひとつといえるでしょう。

秘書業務・オンライン秘書

スケジュール管理やメール対応などを行う秘書も人気の事務職のひとつです。中でも近年は「オンライン秘書サービス」が密かな盛り上がりを見せており、注目を集めています。

オンライン秘書とは、インターネットを通じて事務仕事をサポートするサービスのことです。秘書業務はもちろんですが、オンラインで対応できる限りは経理や人事、そのほかの雑務など幅広い業務を担当します。

働き方はオンライン秘書サービスを提供する企業に所属する、フリーランスで活動するなどありますが、大半が在宅ワークとなります。そのため新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からも市場が大きくなっており、外出が難しい状況でも働きやすいと人気が高くなっています。

経理

いつの時代も需要があるのが経理事務です。経理業務のクラウド化が進む中で単純な入力作業を担当する経理人口は減少しました。しかし経理業務そのものがなくなったわけではなく、むしろ経営的視点をもった経理の需要は高まっています

たとえば他部署の社員に対して単に「それはできない」と突き返すのではなく経理の観点からの代替案を提案する、経営者の意思決定をサポートするための資料やデータを提出するといった働きができる経理です。

法律事務(パラリーガル)

法律事務所で働く弁護士のもとで法律事務を行うパラリーガルも、人気が高まっている事務職のひとつです。

とりわけ近年は経済のグローバル化が進み、アメリカや中国との特許競争が激しくなっています。特許分野の知識があるパラリーガルはまだまだ少ないため、法律事務所や特許事務所、グローバル企業の法務部門などから引く手あまたとなる可能性があります。

パラリーガルになるのに特別な資格は不要です。一定の法律知識と事務スキルは求められますが、司法試験のような難易度の高いチャレンジをすることなく転職できる可能性があるのは魅力でしょう。

事務職への転職で気をつけたいポイント

事務職には、確かに残業が少なく、専門的知識がなくても取り組みやすいという側面があります。

しかしそれはあくまでもひとつの側面であり、すべての事務職がそうなのではありません。何となく「事務職は楽そう」と考えて転職すると後悔する可能性があるので、注意点を確認しておきましょう。

業務内容によっては残業も発生する

残業がどれくらいあるのかは業務内容や会社の方針によって大きく異なります。先に紹介したデータのようにほとんど残業がない事務職があれば、毎日何時間も残業している事務職も存在します。

たとえば給与担当者であれば毎月の給与締め切り時期には残業が増え、人事担当者であれば年度末・年度始めに業務が集中して多忙を極めます。業務内容や会社の方針を見極め、1年を通じた繁忙期なども確認しておくべきです。

専門的な知識が問われる事務職もある

職種によっては専門的な知識が問われる場合があります。たとえば経理であれば会計の知識、人事・労務なら労基法や社会保険・税金の仕組みといった知識は備えておく必要があります。

事務職は少数部署が多いので、転職してからじっくり教えてもらえないことも多々あります。そのため、あらかじめ専門的な知識や経験のある人を優先的に採用したいと考える企業は多いと考えておくべきです。

積極的な評価を受けにくい

営業や販売であれば売上件数、製造や開発であれば完成した商品に対して積極的な評価を受けることがあるでしょう。しかし事務業務は「できて当たり前」、「ミスがあればマイナス」という考え方をするのが基本です。

そのため努力しても積極的な評価は受けにくく、モチベーションが上がりにくいという側面があります。

高年収は見込みにくい(ものによる)

事務職の年収相場は250~300万円ほどと、高年収とは言いがたいのが現状です。事務職は企業利益に直結する職種ではないため、どうしても年収を抑えられがちだからです。

ただし、専門的な知識が問われにくい一般事務よりも、経理や法務といった専門的な知識が問われる事務職のほうが年収相場は高めです。一概に年収が低いとはいえない面もあるので、高年収を求めるならこれらの事務職も視野に転職活動を進めましょう。

産休・育休から復帰しても同じポジションとは限らない

事務職を選ぶ人の中には、子育てと両立しやすいという理由を挙げる人が少なくありません。残業が少ない、土日休みが多いなどの背景を踏まえればその選択は間違いではないですが、産休・育休から復帰しても必ずしも同じポジションで働けるとは限らない点には注意が必要です。

各種の労働法規では、企業に対して妊娠や出産を理由とする不利益な取り扱いを禁止しています。

復帰後の配置についても元のポジションで働くのが望ましいわけですが、異動が不利益な取り扱いにあたるかどうかはケースバイケースです。

たとえば自宅から通えない距離の職場への異動や減給などがなく、「○○部署で能力を発揮してほしい」という会社からの要望であれば、不利益な取り扱いではなく正当な人事権の範囲内と評価される可能性が高いでしょう。

人気の事務職に転職するにはどうすればいい?

人気が高く採用のハードルも高い事務職に転職するために必要なことを解説します。

パソコンソフトを使いこなすスキルが必須(加えてエクセルの関数は知っておいて損はない)

事務職では基本的なパソコン操作ができることが前提条件なので、もしパソコンが苦手なら今すぐにでも勉強しておく必要があります。

事務職における基本的なパソコン操作とは、キーボードやメールの使い方などのごく簡単な操作だけでなく、ワード・エクセル・パワーポイントの3つのソフトを使えることを意味します。

特にエクセルの関数は作業効率を上げるために知っておいて損はありません。インターネットでも書籍でも気軽に学べる方法は多数あるので転職活動と同時進行で勉強しておきましょう。

会計や税金・社会保険の知識があると有利

会計や税金・社会保険の知識があると一般事務だけでなく経理や労務もできる人材として採用の可能性が上がります。関連業務の経験があれば応募書類や面接で積極的にアピールしましょう。

経験がない場合は資格を取得するのもひとつです。たとえば簿記3級・2級ならば独学でも十分合格可能ですし、事務職の転職市場では比較的評価の対象となりやすいのが魅力です。

周囲の人とうまくやれるコミュニケーション能力を磨く

事務職はほかの社員をサポートするのが仕事なので、周囲の人とうまくやれるコミュニケーション能力は不可欠です。

頼まれ事をした際には締め切や方向性をその場で確認して効率よく進めるだけでなく、依頼相手のためになる先回りやプラスαの作業を意識すると信頼されやすくなります。

希望する業界への理解を深めておく

応募する企業の研究はもちろんですが、希望する業界についても研究して理解を深めておくとよいでしょう。事務職は業界ごとに業務内容が大きく変わらない分、その業界で働きたいという熱意が伝わるとほかの応募者との差別化を図ることができます。

業界に詳しければほかの社員の業務についても理解があり、サポートがスムーズに進む期待があるため人事担当者の目にとまりやすくなります。

事務未経験なら派遣や契約社員で経験を積むのもひとつ

事務職は未経験でも応募しやすい職種ですが、事務職が人気職種であることを考えると応募はできても採用に至らないケースが多いと予想されます。長い目で見て事務職として働きたいと考えるのなら、まずは派遣や契約社員で経験を積むのもひとつです。

事務職の求人が多く、大手企業で働ける機会もあるのでよい経験を積めるでしょう。

いずれは正社員になりたいと考えている場合でも、派遣や契約社員で事務経験があればスキルレベルは問題ないと判断されやすいため、再転職がスムーズにいく可能性があります。

まとめ

事務職は人気職種ですが、転職事情は厳しく、採用のハードルは高いと考えておくべきです。

その中で事務職への転職を勝ち取るためには、今後必要とされる事務職を視野に法律の知識を身につけておく、パソコンやコミュニケーションスキルを磨いておくといった必要があります。

 


The following two tabs change content below.

パラリ部

2010年よりパラリーガル資格やパラリーガル実務に関することの他,法律事務所への就職情報などを配信しているパラリーガル(法律事務)専門のWebメディア。 パラリーガル育成の専門スクールが,信頼性と質の高い情報をお届けします。