法律事務所の書面はカンマ「,」を使う?

訴状や準備書面では,「、」と「,」どっち?

 
法律事務所でお仕事をしていると,訴状や準備書面など,弁護士さんが作成した書面を毎日見るわけですが,パラリーガルも,日々裁判所に提出する書類を色々と作成しますよね。

そこで,これらの書面を見たとき,こんなこと思ったことありませんか?
「あれ?何で『、』ではなくて『,』を使うのだろう?」

普段,Word等で文章を作成するとき,一般的には「、」を使いますよね。

ちなみに,判決書など,裁判所が作成する書面でも「、」ではなくて「,」が用いられます。

「裁判文書の標準書式」というものがあって,裁判所が作成する文書は,これに従って作成されています。

そして,この標準書式によれば,読点は原則として「、」ではなく「,」を用いるということになっています。

裁判所が,何故このような標準書式を定めているかというと,その昔,内閣官房長官から各省庁宛に出された「公用文作成の要領」(依命通知)に起因します。

この「公用文作成の要領」では,横横書きの場合,「句読点は,『,』」および『。』を用いる。」と記されています。

したがって,裁判所もこの「公用文作成の要領」に基づき,裁判所が作成する文書では,「、」ではなく「,」が用いられています。

そして,裁判所は,「裁判文書の標準書式」に関する案内を日本弁護士連合会にも通知していますので,弁護士も作成する訴状や準備書面において,「,」を使用することが多いわけです。

なお,これは,必ず「,」を使わなければならないというわけではありませんので,「、」を使う先生もいます。

「、」を使ったこてで,裁判所から注意されたり,書面を受理してもらえないということもありません。

「裁判文書の標準書式」によるその他の主なルール

 

書面の様式

① A4サイズの用紙で横書き
  書証(証拠書類)等も,A4以外のものは,原則としてA4サイズに揃えて提出します。

② 片面印刷

③ 文字のサイズは12ポイント

④ 文字数は1行あたり37字で,1ページの行数は26行

⑤ 余白は,上端35㎜,下端27㎜,左側30㎜,右端15~20㎜
  上端は,裁判所による受付印を押すスペース,
  左端は,ホッチキスを打つスペースとして,少し広く設定されています。

⑥ ホッチキス留めは,左端スペースに2カ所
 

数字の書き方

① 数字は,原則として全角を使用する。
  ただし,表中の数字は半角を用いてもよい。

② 住所などの表記
  住居表示の「〇丁目」は,原則として漢数字を使い「一丁目」と表記するが,
  アラビア数字でも差し支えない。
  なお,街区符号又は住居番号は,原則どおり,アラビア数字を使用する。
  【例】中央区一丁目2番3号

③ 桁の大きな数字
  大きな数字は,3桁ごとに「,」で区切る。
  ただし,万以上の数字には単位(万,億,兆)を記載する。
  この場合「,」を省略する。
  【例】3億2450万6123円

  なお,年号や事件番号は,区切りや単位を付けない。
  【例】2020年
  【例】令和2年(ワ)第1234号
 

項目の細別

文頭に,「第1」「1」「(1)」などの符号を付ける。
符号は,以下の順番で付する。

第1,第2,・・・
1,2,・・・
(1),(2),・・・
ア,イ,・・・
(ア),(イ),・・・
a,b,・・・
(a),(b),・・・

 


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