弁護士秘書とは?主な仕事内容やなり方・年収事情・向いている人まで徹底解説

弁護士秘書

 

弁護士秘書(べんごしひしょ)とは、担当弁護士がスムーズに仕事を進められるよう、スケジュール管理やメール・電話対応、出張に伴うホテル・旅券の手配など、弁護士の業務をサポートする職業のことです。

弁護士秘書は担当弁護士が業務をスムーズにこなしていけるよう、会議や顧客とのアポイントの日程調整や、資料の準備、書類のファイリングなど、一般企業の秘書と同じような業務を行います。

また、弁護士秘書はパラリーガルと一緒に弁護士の業務をサポートします。パラリーガルは、法律事務職員のもう一つの職種で、弁護士秘書よりも法律関連の知識やスキルを使った弁護士のサポート業務が中心です。

弁護士秘書として働くかどうか迷っている場合、そのメリット・デメリットや、ご自身が弁護士秘書に向いているかどうか知りたいですよね。

弁護士秘書になることを検討している人は、まずは仕事内容を理解しておく必要があります。また、弁護士秘書として働くにはメリット・デメリットがあり、向いている人には特徴があるため、それらをしっかり理解した上で、目指すのかどうかを判断する必要があります。

そこで本記事では、

  • 弁護士秘書の仕事内容
  • 事務所規模に異なる弁護士秘書の役割
  • 弁護士秘書と一般秘書・パラリーガルの違いは?
  • 弁護士秘書の1日のスケジュール
  • 弁護士秘書の年収
  • 弁護士秘書として働く4つのメリット
  • 弁護士秘書のやりがい
  • 弁護士秘書になるためのアプローチ
  • 弁護士秘書になるために取得しておくと良い資格
  • 弁護士秘書に向いている人
  • 弁護士秘書になる前に知っておくべきこと
  • 失敗しない法律事務所の選び方|気をつけるポイント

について、解説をしていきます。

本記事を読むことで、弁護士秘書の仕事についてのイメージを持てるだけでなく、ご自身が弁護士秘書になるべきかどうかを判断できます。そして、弁護士秘書を目指したいと思った場合は、具体的にどのような行動が必要なのかがわかり、実行に移すことができます。

ぜひ最後までお読みください。

弁護士秘書の主な仕事内容8つ

冒頭でもお伝えしましたが、弁護士秘書とは法律事務職員の職種の一つで、担当する弁護士の業務をサポートする仕事です。例えば、弁護士が行う法律相談前に準備的な聞き取りを行ったり、裁判書類の作成を行ったりするなどの業務があります。

このように、弁護士秘書は一般企業の秘書と同じような業務を行ったり、パラリーガルと一緒に弁護士のサポート業務を行ったりしていますが、「仕事内容についてのさらに具体的なイメージが知りたい!」という方もいるのではないでしょうか。

そこでまずは、弁護士秘書の具体的な仕事内容を8つ、ご紹介します。

郵便物・FAXの管理

弁護士事務所に届く郵便物・FAXに目を通し、緊急に対応が必要なもの、返事を要するものなど、重要度に応じて振り分けを行います。

弁護士の会議・アポイントなどのスケジュール管理

弁護士の会議や打ち合わせ、来客、訪問、出張などの予定を管理し、スムーズにスケジュールをこなせるように調整します。

出張に伴う宿泊場所・交通手段の手配

弁護士の出張に伴い、宿泊するホテルや交通手段の確認・手配を行います。

メール・電話対応

弁護士宛に届く問い合わせのメールや電話などに対応します。スケジュール調整など、秘書で対応できるものは、自ら返信したり回答したりすることもあります。

来客対応

来客の前に応接室を整えておき、来客の際にはお出迎え・ご案内とお茶出しを行います。そして来客が帰られる際にも、お見送りをします。

書類作成・修正

法律知識を必要としない書類を作成・修正します。
(例:礼状、案内状、依頼状、詫び状、見舞状、弔慰状、報告文など)

書類のコピー・ファイリング

弁護士が必要としている書類のコピーをしたり、これまで作成したり収集したりした書類をわかりやすく整理し、所定の場所に保管しておきます。また不要な書類と必要な書類を分け、要らない書類は順次破棄します。

契約書の製本

クライアントが弁護士に依頼をする際に締結する「委任契約書」を製本します。

事務所規模で異なる弁護士秘書の役割

大手法律事務所の場合

所属する弁護士数や案件も多岐に渡るため、案件ごとにチームを組んで仕事をするケースが多くなります。そのため、担当につく複数の弁護士やパラリーガルらと専門的な案件に関わることが一般的です。

特に渉外案件が多い大手事務所では、国内だけではなく海外拠点の弁護士とも打ち合わせを行うため、語学力を求められ、海外の法律にある程度詳しくなければいけません。

中小規模の法律事務所の場合

一方、中小規模の法律事務所やいわゆる町弁と呼ばれる一般民事事件を多く扱う事務所での弁護士秘書は、先ほどご紹介した8つの仕事内容に加えて、より総務的な振る舞いを求められるケースもあります

弁護士秘書として在籍する人間が少ないため、必然的に仕事量も多くなる傾向にあります。

また、昨今は法律事務所もインターネット広告やwebマーケティングの導入も盛んですので、法律解説コラムや広告代理店との調整役を行う方もいらっしゃいます。

弁護士秘書と一般秘書・パラリーガルの違いは?

パラリーガル認定資格

一般企業の秘書と弁護士秘書との違い

一般企業の秘書と弁護士秘書との違いは、「法律用語・法律に関する知識の必が必要か否か」です。一般企業の秘書は、会社の役員や社長の秘書としてサポート業務を行い、やりとりの中で法律用語を必要とすることは一切ありません。

弁護士秘書は弁護士の秘書としてサポート業務を行うため、法律の専門用語を使った指示があったり、法律の知識がないと業務内容を理解できなかったり、進めていくことができない業務がある場合も多いのです。

したがって、一般企業の秘書よりも弁護士秘書の方がより法律分野に関しては専門性が高いと言えます。ちなみに、スケジュール管理や来客対応、メール・電話の対応、旅券の手配、書類のファイリングなどの業務は、一般企業の秘書と弁護士秘書が共通して行っている業務です。

パラリーガルと弁護士秘書との違い

パラリーガルと弁護士秘書の総称として、「法律事務職員」と言われていますが、この2つの職種には明確な違いがあります。パラリーガルは弁護士秘書以上に法律知識が求められ、単に法律の意味を知っているだけでなく、法律知識を活かしたより実践的な仕事が中心になる職業です。

弁護士秘書は仕事内容でもご紹介した通り、弁護士が指示する内容が理解できるレベルの法律用語・知識は必要ではあるものの、その業務内容は一般的な秘書と同じものです。
法律知識を使って業務を行うことは基本的にありません。

その一方でパラリーガルは、法律・判例・文献の調査をしたり、裁判書類を作成する必要があります。そのため、法律の専門的な知識を使って業務を行うことになります。

しかし、パラリーガルと弁護士秘書との区別が曖昧になっている法律事務所も多いようです。というのも、パラリーガルと弁護士秘書を兼任して業務を行う法律事務所もあるのです。

そのような場合には、弁護士秘書業務を行いつつも、法律の知識を使ってパラリーガルとしての業務も進めていくような、オールマイティな業務処理が求められます。

パラリーガルとは?元弁護士が専門家視点でパラリーガルの仕事内容・給料・将来性を徹底解説

弁護士秘書の1日のスケジュール

弁護士秘書がどのようなスケジュールで働いているのか、ある1日のスケジュールを見てみましょう。弁護士秘書は、繁忙期でなければ残業も少なく、下記のようなスケジュールで1日を過ごしています。

09:00 出社
09:15 留守番電話の解除、FAX・郵便・メールなどの確認
09:30 会議に使う資料の印刷、ファイリング
10:30 来客対応(お客様の案内とお茶出し)
11:00 依頼された資料を後から探しやすいようにファイリングする
12:00 昼休憩
13:00 弁護士の出張に伴うホテルや航空券などの手配
15:00 お客様と弁護士の面談日の調整
17:00 担当弁護士と予定の確認・出張の手配状況などを打ち合わせでまとめて共有
18:00 帰宅

弁護士秘書の年収は250万円~350万円

弁護士秘書の平均年収は、250万円〜350万円です。法律事務所の規模によっても年収に差があり、大手の法律事務所の場合だと、上記の金額よりもさらに高い年収である可能性があります。

また、中小規模の法律事務所では弁護士秘書とパラリーガルを兼任している場合もあります。その場合は、上記の平均年収を上回る可能性があります。ちなみに、弁護士秘書と一般企業の秘書と比べると、ほぼ同水準の年収です。

一方で、パラリーガルの平均年収は437万円(厚生労働省の職業情報提供サイト『jobtag』)となっており、弁護士秘書よりもパラリーガルの方が高い年収であることがわかります。パラリーガルは弁護士秘書よりも専門性の高い業務を行うため、その分年収も高くなっているのです。

■パラリーガルと弁護士秘書の平均年収の詳細はこちら|実データから詳しく解説!

弁護士秘書として働く4つのメリット

弁護士秘書として働くことを検討している場合、本当に自分が働くべきなのかどうかを判断するために、そのメリットデメリットを知っておく必要があります。まずは弁護士秘書として働く4つのメリットをご紹介します。

それでは詳しく解説していきます。

法律事務書からの需要が高い

弁護士秘書として働くメリットの一つとして、法律事務所からの需要が高いという点が挙げられます。というのも、司法制度の改革によって弁護士や法律事務所が増えており、それだけサポート業務を依頼できる弁護士秘書の存在も必要になっているためです。

弁護士数の推移

参考:弁護士白書2020

2000年ごろから司法制度の改革により、弁護士や法律事務所の数は増え続けており、事務所間での競争が激化しています。

その中で、他事務所に負けない多くの実績を積み上げていくためには、弁護士が効率よく業務を行えるよう、サポートしてくれる弁護士秘書の存在が必要不可欠なのです。

弁護士秘書は弁護士にとって重要な戦力として考えられており、弁護士秘書が欲しい法律事務所は数多くあるのです。

結婚や出産に左右されずに働き続けられる

弁護士秘書として働くメリットとして、結婚や出産に左右されずに働き続けられるという点があります。

弁護士秘書として働く過程で身に付く業務スキルや法律に関する用語・知識は、どこの事務所へいっても通用するものであり、結婚や出産で一時的に仕事を辞めなければならなくなっても、転職がしやすく、働き続けることが可能なのです。

例えば、出産によって勤めていた法律事務所を辞めなければならない場合です。

出産後、新たな法律事務所で採用してもらうことは難しくないでしょう。したがって、結婚で住む場所が変わったり、出産で一時的に働けない状況になったとしても、弁護士秘書の実務経験があれば、転職して働き続けることが可能なのです。

パラリーガルとしてキャリアアップがしやすい

弁護士秘書は、パラリーガルとしてキャリアアップしやすい点はメリットと言えます。

というのも、弁護士秘書はパラリーガルほどの高度な法律知識は求められないものの、業務をこなしていく中で、法律に関する知識や用語を覚えていきます。法律業務に関して基礎が出来上がっているため、パラリーガルになるためのより高度な法律知識を勉強する際にも、未経験者がパラリーガルになるために勉強するよりもすんなりと学習していくことができるのです。

より専門性を身につけ、市場価値の高い人材であるとアピールするために、「パラリーガル認定資格試験」を受験して、客観的にスキルを証明できるようになると、キャリアアップ・年収アップが見込める可能性があります。

弁護士と結婚できる可能性がある

職業選択の一環として「弁護士秘書」を選ぶ方が多いというのが前提ですが、普段関わりのない弁護士と接点が持てるというのはひとつのメリットそしてあげられます。実際、弁護士秘書として入所し、弁護士と結婚した方は一定数いらっしゃいます。

弁護士秘書のやりがいは?

弁護士秘書のやりがいは、以下の2点です。

  1. 自分なりに工夫しながら業務を進めていけるところ
  2. クライアントから感謝をされること

それでは詳しくみていきましょう。

自分なりに工夫しながら業務を進めていけるところ

弁護士秘書のやりがいとしてあげられるのは、自分なりに工夫をしながら業務を進めていけるところです。

弁護士が取り扱う分野は多岐にわたっており、自分の携わったことがない案件に取り組むことも少なくないため、毎回同じような対応ではなく、工夫して業務を進めることが求められ、やりがいを感じることができます

例えば、ファイリング一つでも、案件ごとに状況を把握した上で、どのようにファイル整理を行えば、担当弁護士にとって見やすくわかりやすいのかを考えるなど、ホスピタリティを存分に発揮することが、弁護士秘書にとってのやりがいになります。

クライアントから感謝をされること

クライアントを助けるために弁護士が尽力するサポートをするため、クライアントから感謝されることも少なくありません。また、基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする弁護士をサポートするのが弁護士秘書の仕事です。

つまり、弁護士と二人三脚で仕事をする弁護士秘書は、弁護士と同じ様に,クライアントの権利・自由・財産・生命を扱う仕事であるといえ、大きな責任を伴う一方で、やりがいも大きなものになります。

そして、クライアントから感謝の言葉をいただけると、クライアントの問題解決に向けて日々の業務を頑張って良かったとやりがいを感じる瞬間を味わえます。

弁護士秘書になるには|具体的な5つのアプローチ方法

弁護士秘書になるためのおすすめのアプローチ方法を5つご紹介します。

知り合いからの紹介

もしご自身の知り合いに弁護士もしくは弁護士秘書がいる場合は、その法律事務所へ紹介してもらえないか確認してみましょう。タイミング良く、ちょうど弁護士秘書の採用をしたいと考えている法律事務所であれば、すぐに採用となる可能性があります。

求人情報を載せていない事務所もあるので、自分から働きかけることで採用を獲得することができるかもしれません。自ら動いて確認をしてみましょう。

弁護士事務所のWEBサイトで求人を探す

弁護士事務所のWEBサイトで、求人情報が出ていないか確認するというのも一つの手です。法律事務所では、弁護士秘書の欠員が出たら補充するために、WEBサイトで求人情報を出すということが多いためです。

大手はもちろん、小規模の弁護士事務所でもサイトで採用情報を出していることも多いので、ご自身の暮らしている地域の法律事務所で求人が出ていないか、WEBサイトで確認をしてみましょう。

求人サイトに登録する

求人サイトに登録をする方法もおすすめです。求人サイトでは、現在弁護士秘書の募集を行っている法律事務所が一覧で確認でき、自ら法律事務所を探す手間が省けるためです。

また、労働条件や事務所の特徴も一緒にまとめられているため、自分が応募したい法律事務所をピックアップしやすい点も、求人サイトの利用をおすすめする理由です。採用までは、求人サイトを通してエントリー後、書類選考と2〜3回面接をするといったような流れとなるのが一般的です。

一度求人サイトを確認して、応募したい法律事務所をいくつかピックアップするところから始めましょう。

転職エージェント経由の応募

求人サイト以外にも、転職エージェント経由で法律事務所に応募する方法もあります。弁護士や法律事務所を専門に扱うエージェントは少ないですが、一般求人サイトにはない非公開求人の鍾会、独自ルートで弁護士秘書になれる可能性があります。

AG法律アカデミー経由での応募

本サービス『AG法律アカデミー』はパラリーガル専門の資格取得講座を運営しており、基本的にはパラリーガルを目指す方の資格スクールではありますが、本講座で学んだことは弁護士秘書としても十二分に役立ちますので、内定率アップにつながります。

また、受講生には転職支援サービスを提供しておりますので、ご希望の方は実務で役立つ知識を得た状態で、法律事務所の秘書として活躍することが可能です。

弁護士秘書になるのに必要な学歴やスキル・資格はある?

弁護士秘書になるにあたり、基本的に学歴は問われません。また社会人経験があれば、未経験でも採用可能としている法律事務所も多くあります。

弁護士秘書に高学歴は必要ない

冒頭でも述べましたが、弁護士秘書には基本的に学歴は問われません。ただし、大手法律事務所に関しては別です。大手の法律事務所では、4年制大学、もしくは大学院を卒業していることが条件になっている場合があります。

したがって、基本的には弁護士秘書になるために学歴は必要ありませんが、大手事務所を目指す場合は、高学歴の方であれば、採用の可能性があると言えるでしょう。

とはいえ、国内の法律事務所の9割が弁護士数20人以下の中小規模事務所になります。

参考:弁護士白書2020|事務所における弁護士の人数

法学部出身や高学歴よりも、コミュニケーション能力や事務処理能力が高いことの方が重要視されます。

高いコミュニケーション能力は求められる

コミュニケーション能力もパラリーガルには非常に大切です。コミュニケーションでは、質問力を高めて相手にどんどん話しやすい状況を作り出すことが大切です。どんな人とも円滑にコミュニケーションが取れるように、どう質問すれば相手が話しやすくなるかを考えながら会話するようにしましょう。

事務処理能力の高さは必須

法律事務所では、相談者と弁護士との面談スケジュールを調整するといった事務処理や、裁判所との連絡・裁判日時の調整などがメインになりますので、調整力や事務処理能力は高いレベルで求められます。

特に中小規模の法律事務所では、事務に加えて経理の仕事や社会保険の手続きなどを兼任するケースもあるため、書類作りに慣れておくのが望ましいと言えます。

過去に秘書経験があるとプラス

弁護士秘書としては経験がなくても、一般企業の秘書経験があると有利になる可能性があります。

弁護士秘書は一般企業の秘書と比べると、仕事上、法律用語の理解などは必要であるものの、業務内容は同じであるため、採用する弁護士側としては、「すぐに仕事に慣れて、業務をこなしてくれるだろう」という期待感を持つためです。

したがって、もし過去に秘書経験がある場合、その点をアピールできると良いでしょう。

弁護士秘書になるために取得しておくと良い資格|就職内定率に寄与するおすすめ3選

未経験の方にとって法律事務職員の業務は、すぐにこなせる簡単な仕事ではありません。そこで、未経験の方には資格取得をすることをおすすめします。資格は知識やスキルを客観的に証明できるものなので、実務経験がなくても、経験を補うことができるのです。

弁護士秘書になるために取得しておくと良い資格は以下の3点です。

  1. 秘書検定準1級
  2. MOS資格
  3. パラリーガル認定資格

それでは詳しく解説していきます。

秘書検定準1級

秘書検定とは、公益財団法人 実務技能検定協会が主催の資格です。秘書検定の資格取得によって、証明できる知識・スキルは以下の5つです。

  1. 秘書の基本的な役割、要求される人柄の理解
  2. 社会常識
  3. 文書の作成、取扱、ファイリング
  4. ビジネスマナー
  5. スケジュール管理、環境の整備

秘書検定の取得をおすすめする理由は、まさに秘書検定で証明できる上記5つの知識やスキルが、業務でもそのまま活かせるため、未経験者であっても採用されやすくなるためです。

法律事務所の求人でも『秘書検定をもっていることが望ましい』と書かれていることが少なくありません。弁護士のスケジュール管理や、来客対応、書類のファイリングなど、弁護士秘書の業務内容は、秘書検定の資格取得に向けて学んだ知識やスキルをそのまま活かして仕事ができます

そのため、秘書検定の資格を取得していれば、安心して仕事を頼める人材だと判断してもらえるでしょう。

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)資格

MOSは、Microsoft Office Specialist(マイクロソフトオフィススペシャリスト)の略です。

事務職に必要不可欠なMicrosoft Office製品のスキルレベルを証明できる資格です。MOSの取得をおすすめする理由は、WordやExcel使った書類作成や図表の作成は、弁護士秘書業務において必須であるからです。

弁護士秘書は法律知識を必要としない書類(例えば、礼状など)をWordで作成したり、弁護士に依頼されたデータをExcelで図や表・グラフにしたりするなど、日常的にWordやExcelを使用します。

採用の際にはWordやExcelなどの基礎PCスキルがあるかどうかをテストする法律事務所もあるほどです。そのため、基本的な事務処理能力があることを示せるMOS資格は、取得しておくことをおすすめします。

パラリーガル認定資格

弁護士秘書の仕事は、基本的にはパラリーガルのような高度な法律知識やスキルを使った業務ではありません。しかし、先述の通り、国内の法律事務所は9割が中小規模事務所になりますから、弁護士秘書とパラリーガルを兼任する業務を担う場合があります。

そのような場合、法律関連の専門的な知識を求められるため、「パラリーガル認定資格」を取得しておくと、自身の法律に関する知識やスキルを客観的に証明でき、採用される確率がアップします。AG法律アカデミーでは、日本リーガルアシスタント協会の指定校となっており、下記資格が取得できる講座を実施しています。

一般社団法人日本リーガルアシスタント協会「パラリーガル認定資格」

AG法律アカデミー/パラリーガルの資格制度についてはこちら>>

弁護士秘書に向いている人の特徴4つ

弁護士秘書に向いている人

弁護士秘書のメリットについてご紹介しましたが、「弁護士秘書になるべきかどうか迷ってしまう…」と感じている方もいるのではないでしょうか。そこで、弁護士秘書に向いている人をご紹介します。

弁護士秘書になるべきか判断するための材料として、見てみましょう。
それでは詳しく解説していきます。

コミュニケーション能力が高い人

コミュニケーション能力が高い人は弁護士秘書に向いていると言えます。その理由は、弁護士からの指示の要点を素早く理解し、正確に業務に反映させていく必要があるためです。

弁護士は常に忙しいため、効率の良くコミュニケーションを取り、業務を処理していく必要があります。そこで、弁護士秘書のコミュニケーション能力が高ければ、弁護士とのやりとりに時間をかけることなく、次から次へと業務を効率よく処理していくことができるのです。

相手の言いたいことを素早く理解できるコミュニケーション能力の高い人は、弁護士秘書に向いていると言えます。

サポートが好き・得意な人

サポート好き・得意な人は、弁護士秘書に向いています。というのも、弁護士秘書は弁護士のサポート業務を担っているからです。

弁護士がスムーズに業務を進めるための気配り、細やかな気遣いを積極的に行うことが求められるため、サポートが好きで得意な人は弁護士秘書に向いているのです。

例えば、弁護士秘書がスケジュール管理を行う場合です。弁護士がスムーズに1つ1つの業務を進めていけるよう、弁護士の現在の業務量などを把握した上で、ベストなスケジュールを組むというようなことが求められます。

したがって、常に弁護士のことを考えて全力でサポートできるホスピタリティの高い人は、弁護士秘書に向いていると言えます。

常に向上心がある人

常に向上心がある人は、弁護士秘書に向いていると言えます。

業務上、法律の専門用語が飛び交っている現場なので、自ら学ぶ姿勢を持って、必要な知識はどんどん吸収し、業務をこなす量・質・スピードを上げていく必要があるためです。

弁護士秘書であっても、法律に関する用語や知識がゼロでは業務を進めていくことはできません。
用語や知識を理解した上でやっと業務の量・質・スピードが向上していくのです。

したがって、「わからない用語や知識は絶対に身につけて、サポート業務の質やスピードを高めたい」といった向上心を持って働ける人は、弁護士秘書に向いていると言えるでしょう。

事務処理が素早くて正確な人

事務処理が素早く、正確な人は弁護士秘書に向いていると言えます。というのも、膨大な書類の形式や種類を正確に把握したり、素早くファイリングしたり、提出書類にミスがないか確認する必要があるためです。

例えば、弁護士が複数の業務で使用する書類のファイリングを依頼した場合、まずは書類を間違いのないように素早く分類し、いつでもその書類が取り出せるようにスピーディかつ丁寧にファイリングしておく必要があるのです。

したがって、素早く正確に事務処理ができる人は弁護士秘書に向いているでしょう。

弁護士秘書になる前に知っておくべきこと

弁護士秘書の苦労するところは?

弁護士秘書として働いていて苦労するところは、弁護士のタイプによって対応を変えていく必要があるという点です。弁護士秘書は、1人で複数人の秘書することがあり、それぞれの弁護士のタイプに合わせて業務を行う必要があるため、苦労をします。

というのも、弁護士によって弁護士秘書に対する指示の仕方や求めることが違うからです。

例えば、弁護士秘書のAさんが、弁護士Bさんと弁護士Cさんの担当になったとします。
弁護士Bさんはファイリングについてとても細かい指示を出しますが、弁護士Cさんは「ファイリングお願いします」という指示のみ、など、人によって指示の細かさが違ったり、弁護士のタイプを把握して察して動いたりする必要があるのです。

同じ業務でも、弁護士のタイプによってどのような対応が必要なのか変わるので、担当弁護士の指示の仕方や要望などが把握できるまでは、少し苦労するかもしれません。

ある程度の法律知識がないと仕事を覚えるのが大変

弁護士秘書は、ある程度の基本的な法律知識がないと、全くわからない仕事を任される可能性があるという点です。弁護士秘書は、法律事務所によってはパラリーガルの業務の兼任を求められることがあります。

本来パラリーガルが行うような専門的な業務も行うことになると、いきなり高度な知識・スキルが求められ、何をやったらいいのか全くわからない状況で仕事を進めていかなければいけない可能性もあるのです。

しかし一方で、最初は覚えることだらけで苦労はするかもしれませんが、パラリーガルとしてのキャリアを積むこともできると考えることもできます。

実践を重ねて、法律に関する知識やスキルを高めていきたいと考えている方には、この点はむしろメリットと言えるかもしれません。

残業時間は長い?

法律事務所の一般的な業務時間は9:00〜17:00、夜間対応している場合は22:00頃までとなっています。

一般事業会社ではないためいわゆる就業規則で定められた8時間労働に当てはまるかは事務所次第ですが、業務量によって1〜2時間ほど残業する日もあると思っておくと良いでしょう。

休日出勤などはある?

休日対応を行なっている事務所であればあり得ます。ただし、シフト制の場合は土日に出勤し、平日には休むという場合も考えられます。

法律事務所の福利厚生はある?

基本的にはないと思って良いでしょう。

法律事務所は会社ではありませんので、社会保険に未加入の場合もあります。もし福利厚生が充実した事務所に入所したい場合は、事前に確認しておくか大手事務所、法律事務所の機関業務を株式会社が行う運営体制を知っている事務所を選ぶのがおすすめです。

失敗しない法律事務所の選び方|気をつけるポイントは?

短期間で退職した人がいないか確認する

ブラック法律事務所かどうかを簡単に調べる方法の一つは、短期間での退職者がいないか確認することです。短期間での離職は転職活動で悪い印象を与えてしまうため、普通は行いません。

にもかかわらず、短期で離職しているということは、耐えられないほどブラックな労働環境であった可能性が高いといえます。

口コミ・評判を調べる

労働環境が劣悪な事務所の場合、業務のパフォーマンスも低下しやすいので、何かしらの悪い評判や口コミがあるものです。利用者の評判・口コミの確認はもちろんのこと、同業者や連携のある士業、裁判所などに事務所の仕事ぶりを確認してみるとよいでしょう。

雇用条件を確認する

面接・契約締結時に雇用条件をはっきりと明示しない場合は、ブラック法律事務所の可能性はかなり高めといえます。また、面接の際は良い条件を伝えといて、契約時に劣悪な条件を一方的に押しつけてくる場合もあります。そのため、雇用条件の説明以外にも怪しい雰囲気を感じたら、内定を断るほうが無難です。

しかし、労働法などを熟知したプロが働く環境ですので、一般企業に比べたらブラックの率はかなり低いことはお伝えさせていただきます。

まとめ

本記事では、弁護士秘書の仕事内容やメリット注意しておくべきこと、向いている人などをご紹介しました。

弁護士秘書は事務職と言えどもルーティン作業だけではなく、案件ごとに臨機応変に動くことが求められる大変やりがいのある仕事です。

もちろん、弁護士のタイプによって対応の変化を求められるといった苦労もありますが、人をサポートすることが好きな人は、やりがいを持って仕事ができる可能性があります。

ご自身にとって、弁護士秘書という職種は目指すべきなのかどうか、本記事を参考にしていただき、見極めましょう。

 

 


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