パラリーガル向けの資格おすすめ3種|認定資格、パラリーガル心理士・秘書検定について徹底比較

パラリーガルとは弁護士の指示・監督のもとで法律事務を行う仕事のことです。つまり、パラリーガルとは、弁護士が執り行う法律事務を補助する一つの専門職です。

しかし、広義では、法律事務所で勤務する弁護士秘書や一般事務職員の他、一般企業の法務部で法律事務を行う者も含め、これらを総称する意味で用いられる場合があります。

パラリーガルは、法律事務のスペシャリストで、そのスキルは全国の法律事務所や企業の法務部で共通であることから、転職に強いということが大きな魅力の一つです。

また、法律を全く学んだことのない、法律事務未経験者でも可能なお仕事であり、法律事事務所(弁護士)は、景気に左右されない(不況に強い)と言われることからも、今とても注目を集めている職種です。

そんなパラリーガルですが、就職するために資格は必要なのでしょうか?実際にパラリーガルに就職するうえで持っていると有利になる資格はいくつかあるため、本記事ではそれらの難易度や受験に必要な資格についてご紹介します。

パラリーガルになるための資格は?

パラリーガルになるために資格が必要なことはありません。各求人で求める要件・条件に一致していれば、たとえ未経験者でも法律に対して何の知識がない方でも採用されることはあり、パラリーガルとしてのキャリアをスタートさせることが可能です。

学歴不問|法学部も必須ではない

資格だけではなく、法学部などで法律を学んだ経験を問われることもありません。

学校を出た後に社会人になって法律分野に興味を持ち始めた方でも、パラリーガルであれば法律関係のキャリア開始として十分に狙える職業となっています。

仕事として現場でより身近に法律と関わっていくことで、ゆくゆくの資格取得など新たな挑戦のきっかけにもなるでしょう。

優秀なパラリーガルと認定するための資格はある

「これがないとパラリーガルにはなれない」という必須の資格はありませんが、『パラリーガル認定資格』というものがあります。

パラリーガル(法律事務)としての知見と教養があるということを証明する資格で、持っていることでパラリーガルでの就職活動で十分にプラスに働くと言えるでしょう。

パラリーガルになる際におすすめの資格3種

パラリーガル認定資格|実務に役立つ唯一の認定資格

『パラリーガル認定資格』は、一般社団法人『日本リーガルアシスタント協会』が発行、AG法律アカデミーが運営する、国内唯一のパラリーガルに関する資格です。

法律事務に関する実務スキルとそれに付随する基本的な法律知識を有していることの客観的証明として役立っています。

『パラリーガル』と名称が付く唯一の資格で初級なら未経験者でも受験可能なので、パラリーガルへの転職でも役立ちます。

受講は90分の講義が毎週行われ、半年間の受講期間のため資格取得までにそれなりの時間がかかり、『それほどの費用と時間をかけるくらいなら、他の士業の試験を勉強して受けた方が実用性もあるのでは?』と、思われるかもしれませんが、ここで資格取得をしたパラリーガルは、どの法律事務所でも高年収で迎えられており、法律事務所で多大な活躍をしています。

参考:現役パラリーガルからのメッセージ

秘書検定

秘書検定とは、秘書業務に必要な知識やスキルを証明するための資格試験です。秘書検定は、一般財団法人日本能率協会が主催しています。秘書検定の取得条件は、特にありません。どなたでも受験することができます。

ただし、秘書業務に関連する知識やスキルを学び、試験に合格する必要があります。秘書検定は、日本能率協会が実施する公式の試験ですが、他の機関や団体からも秘書検定に似た資格が提供されている場合もあります。

秘書検定のメリット

  1. スキルの証明: 秘書検定の合格は、秘書業務に必要な基礎的な知識やスキルを持っていることを証明するものです。資格を取得することで、秘書としての専門的な能力をアピールすることができます
  2. 就職・転職のアドバンテージ: 秘書検定の資格を持っていることは、就職や転職活動においてアドバンテージになることがあります。企業や組織は、秘書検定の合格者を求めることがあり、採用の際に重視されることがあります
  3. スキルの向上: 秘書検定の受験を通じて、秘書業務に必要な知識やスキルを習得する機会が得られます。試験勉強を通じて、コミュニケーション能力や組織能力、事務処理能力などのスキルが向上することが期待できます

秘書検定には、初級から上級までの複数の試験レベルがあります。初級では秘書業務の基礎的な知識を学び、上級ではより高度なスキルや専門知識を身につけます。

秘書検定の取得には、一定の勉強時間と努力が必要ですが、その分だけ自身の能力を高めることができるでしょう。

パラリーガル心理士

パラリーガル心理士は、法律事務の専門スキルを備えたパラリーガルでありながら、心理学とカウンセリングの知識を有し、法律相談に来られた精神的に不安定な依頼者に対して、寄り添いサポートできるスキルを持った者です。

パラリーガル心理士資格を取得するメリット

  1. 法律事務の専門スキルと心理カウンセリングのスキルを合わせ持つことで、高いレベルにおいて弁護士と依頼者双方のサポートができる
  2. 精神的に不安定な状態で法律相談に来られる依頼者に対して、適切な距離を保ち冷静に対応をすることができる
  3. 自己理解を深めることによって自分の思考パターンを知り、悩みや不安との付き合い方を身に付けられ、感情のコントロールができるようになる
  4. 対人関係の特性を理解し、相手の話を聞くスキルを学ぶことで、弁護士やスタッフと良好な人間関係を築けるようになる
  5. 心理カウンセリングの知識とスキルをもとに、将来的にカウンセラーとして独立することも可能

心理学と法律を組み合わせた職業に興味がある場合は、地域の要件や関連する組織での役割を理解し、詳細を把握することが重要です。詳しくは『こちら』をご覧ください。

関連記事:パラルーガル心理士認定講座

これからの時代に法律事務所で心理学が必要とされる3つの理由

パラリーガル

法的にはどうすることもできない場合の心理ケアに

弁護士は法的に問題を解決するプロであり、心理学の専門家ではありません。したがって、日々多忙な弁護士は、怒りや悲しみを訴える依頼者に対して、「それは法的にはどうすることもできない」といった対応をとってしまうことも少なくありません。

すると、依頼者は弁護士に対して不信感を抱いてしまい、依頼者のために一生懸命力を尽くそうとする弁護士との間で、誤解やボタンの掛け違いが起きてしまいます。

これからのリーガルサービスに求められる

弁護士(法律事務所)の競争が激化する現代において、良質なリーガルサービスを提供し、顧客満足度を高めることは必須です。「 法的な解決 = 依頼者の満足 」ではありません。

「 この弁護士は私の気持ちを理解してくれている 」と思えて初めて依頼者は満足します。これからの時代、生き残る弁護士は「 依頼者に寄り添い、共感できる弁護士 」

精神的にも依頼者に寄り添える弁護士でありたいと、近年、心理学を学ぶ弁護士も増えてきています。

パラリーガルに求められる役割の増加

看護師が、医療知識を持ち、患者の心にも寄り添いながら医師をサポートするのと同じように、様々な法律事務の処理ができることに加え、依頼者の精神的な支えにもなれるパラリーガルは、弁護士にとってかけがえのない存在です。

  • 高い法律事務スキルを持ちながら、依頼者の心のケアもできる
  • 心理的症状や精神状態によって、適切な対応ができることで依頼者との不要なトラブルを回避できる
  • 自分の感情をコントロールし、常に安定した精神状態で弁護士やスタッフと良好な人間関係を築ける など

これによって、弁護士は、法律の専門家として本来の弁護士業務に集中でき、依頼者も本当の意味での満足感を得ることができます。

パラリーガルのやりがい・魅力

パラリーガルの主な仕事内容

生涯にわたる知識やスキルの獲得

法律事務所では家庭問題のみならず、企業案件や刑事事件・行政事件など幅広い事件に対応するため多くの知識を身につけられます。そのため他の法律事務所や企業の法務部への転職が有利になります。

新たな法改正に対応する意欲と柔軟性や経験が重視されるため、年齢に関係なく活躍できる点も魅力です。

全国どこでも即戦力になれる

パラリーガルのスキルは、全国の法律事務所で共通です。裁判手続きの流れやルール、各種事件の処理手順は基本的に同じだからです。

裁判所や各関係機関とやり取りする各書面も、その多くが定型書式となっています。いったんパラリーガルとしてのスキルを身に付ければ、どこの法律事務所でも「即戦力」として働けるので、法律事務所からは重宝されます。したがって、転職が容易な職業といえます。

企業の法務部での需要が高まっている

近年、法律事務所のみならず、企業の法務部などでも非常にパラリーガルへの需要が高まっています。

企業のグローバル化に伴い、大手企業をはじめ多くの企業がコンプライアンスを重視する中、各企業で法務部の人員を強化しているためです。

通常、各企業の一般従業員は法的な知識を持っておらず、法務部等に異動させても即戦力になりません。

一から法務の勉強をさせるのも非効率です。また、多くの従業員は、その企業の本来の業務と関係のない法務の仕事に就きたがりません。

そこで、多くの企業は法務の仕事については、経験やスキルを持った人材を外から中途採用しているのが現状です。

ここで重宝されるのが法律事務スキルを持ったパラリーガル経験者。彼らは裁判手続や各種事務手続及びそれに付随する必要書類に関する知識があるため即戦力になります。

まとめ

パラリーガルになるために特に資格が必要になることはありません。しかし、パラリーガルに関する資格はいくつかありますし、事務処理や秘書としてのスキルなどを証明する資格はパラリーガルでの転職では優遇されます。

今回ご紹介した資格は今後のキャリアアップにもつなげやすい資格ですから、新たなことに学習する意欲が高い方はぜひ、今回ご紹介した資格に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 


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